2020/11/13、慢性腎臓病、心血管疾患の有無、ダパグリフロジンの臨床転帰に与える有用性について調べた研究「Effect of Dapagliflozin on Clinical Outcomes in Patients with Chronic Kidney Disease, With and Without Cardiovascular Disease: DAPA-CKD Trial 」の要旨をまとめました。

2020/11/13、慢性腎臓病、心血管疾患の有無、ダパグリフロジンの臨床転帰に与える有用性について調べた研究「Effect of Dapagliflozin on Clinical Outcomes in Patients with Chronic Kidney Disease, With and Without Cardiovascular Disease: DAPA-CKD Trial 」の要旨をまとめました。ダパグリフロジンは慢性腎臓病において末期腎疾患リスクを減少します。過去の心血管疾患、事象タイプ、ダパグリフロジンの心血管、腎事象への相対リスクを調べるために、「DAPA-CKD」(Dapagliflozin And Prevention of Adverse Outcomes in Chronic Kidney Disease)試験、慢性腎臓病4304例、ダパグリフロジン10mg1日1回、プラセボの無作為化試験を実施しました。主要評価項目はeGFR 50%以上の低下、末期腎疾患、腎心血管死の複合としました。副次評価項目は腎複合転帰(主要評価項目から心血管死を引いたもの)、心不全入院、心血管死の複合、全死亡としました。事前指定サブグループ解析では、心血管疾患の既往の有無に基づいて、一次予防、二次予防に分けました。結果、二次予防群1610例(37.4%)では、高齢、男性、高血圧、BMI高値、糖尿病を多く認めました。推算糸球体濾過量中央値、尿中アルブミンクレアチニン比中央値は一次予防群、二次予防群で同様でした。有害心血管転帰の発生率は二次予防群で高率でしたが、腎不全の発生は一次予防群と二次予防群で同様でした。ダパグリフロジンは主要複合評価項目リスクを、一次予防群(HR, 0.61 [95% CI, 0.48-0.78])、二次予防群(0.61, 0.47-0.79)、いずれにおいても(P-interaction=0.90)減少しました。心不全入院、心血管死の複合(0.67, 0.40-1.13 versus 0.70, 0.52-0.94, respectively, P-interaction=0.88)、全死亡(0.63, 0.41-0.98 versus 0.70, 0.51-0.95, respectively, P-interaction=0.71)においても同様でした。有害事象の発生率は全体として低く、心血管疾患の有無において差を認めませんでした。ダパグリフロジンは、慢性腎臓病において、2型糖尿病の有無に関わらず、過去の心血管疾患の既往の有無と関係なく、腎不全、心血管死、心不全入院リスクを減少、生存率向上と関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051675
慢性腎臓病に対するダパグリフロジン(フォシーガ)の有用性を調べた「DAPA-CKD」試験の結果です。驚くべきことに、2型糖尿病の有無を問わず、また過去の心血管疾患の既往の有無を問わずに、慢性腎臓病に対して有用性を認めました。ダパグリフロジン(フォシーガ)の現時点の適応病名は「2型糖尿病」「1型糖尿病」ですが、「DAPA-CKD」試験の結果を受けて、「糖尿病の有無に関わらず慢性腎臓病」に対して使用可能になる日も近いでしょう。


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