2020/11/14、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞の潜在的な原因を特定するために、冠動脈光干渉断層撮影、心臓磁気共鳴画像にて調べた研究「Coronary Optical Coherence Tomography and Cardiac Magnetic Resonance Imaging to Determine Underlying Causes of MINOCA in Women」の要旨をまとめました。冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries: MINOCA)は、心筋梗塞の6-15%に発生、女性に多いと言われています。科学的ステートメントでは、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞の原因確定のためには、複数のモダリティの画像検査が推奨されています。冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞のメカニズムの評価のために、冠動脈光干渉断層撮影(coronary optical coherence tomography)、心臓磁気共鳴画像(cardiac magnetic resonance imaging)を実施しました。心筋梗塞の臨床診断、女性を対象に前向き多施設国際観察研究を実施しました。侵襲的冠動脈血管造影にて主要血管に50%未満の狭窄を認めた場合、多枝光干渉断層撮影、心臓磁気共鳴画像(シネ画像、遅延ガドリニウム造影、T2強調画像、T1マッピング)を実施しました。血管造影、光干渉断層撮影、心臓磁気共鳴画像は、盲検にて中隔検査室にて独立して評価しました。光干渉断層撮影にて責任病変を認めた場合、確定または疑いに分類しました。心臓磁気共鳴画像中隔検査室は、虚血関連心筋障害、非虚血性心筋障害の特定をしました。画像検査の結果は統合、可能な場合、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞のメカニズムを特定しました。結果、16施設、女性301例、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞の診断170例、光干渉断層撮影145例、心臓磁気共鳴画像116例実施しました。145例中67例(46.2%)光干渉断層撮影によって責任病変の確定または疑いを認め、頻度が高いものは、プラーク破綻、プラーク内空洞、重層プラークでした。心臓磁気共鳴画像異常は116例中86例(74.1%)に認めました。心臓磁気共鳴画像異常のうち虚血パターン(冠動脈支配領域に一致した梗塞、心筋浮腫)は心臓磁気共鳴画像116例中62例(53.4%)に認めました。心臓磁気共鳴画像異常のうち非虚血パターン(心筋炎、たこつぼ症候群、非虚血性心筋症)は116例中24例(20.7%)に認めました。冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞の原因は女性84.5%で特定され、複数モダリティの画像検査の組み合わせ116例中98例、光干渉断層撮影のみ(p<0.001)、心臓磁気共鳴画像のみ(p=0.001)と比べて高率でした。冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞、女性のうち、虚血性の病因が特定出来た例が63.8%、非虚血性の病因が特定出来た例20.7%、メカニズムが特定出来なかった例15.5%(116例中18例)でした。冠動脈光干渉断層撮影、心臓磁気共鳴画像を組み合わせた複数モダリティの画像検査は、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞と診断された女性の84.5%の心筋梗塞の診断の潜在的なメカニズムを特定、4分の3は虚血性で、4分の1は非虚血性でした。冠動脈閉塞の伴わない心筋梗塞の病因を特定することは可能性であり、二次予防のための治療方針の参考となる可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.052008
冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries: MINOCA)の原因について、さらなる詳しい画像検査にて84.5%はその原因を特定することが出来たという報告です。冠動脈閉塞を認めれば心筋梗塞の原因は明らかですが、冠動脈閉塞を認めなかった場合には、粘り強く原因を特定していくことの重要性を改めて認識しました。冠攣縮性、冠動脈内血栓、心筋症など、多数の心疾患が心筋梗塞の原因となります。詳しくは、2018年のヨーロッパ心臓病学会の心筋梗塞の「Fourth universal definition」をご覧ください。
「2018/8/25(土)、ヨーロッパ心臓病学会の心筋梗塞の第4版ユニバーサル定義「Fourth universal definition of myocardial infarction 2018」の内容をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/15673
2020/11/14、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞の潜在的な原因を特定するために、冠動脈光干渉断層撮影、心臓磁気共鳴画像にて調べた研究「Coronary Optical Coherence Tomography and Cardiac Magnetic Resonance Imaging to Determine Underlying Causes of MINOCA in Women」の要旨をまとめました。