2020/11/10、高齢、LDLコレステロール低下薬の有効性、安全性について系統レビュー、メタ解析「Efficacy and safety of lowering LDL cholesterol in older patients: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials」の要旨をまとめました。

2020/11/10、高齢、LDLコレステロール低下薬の有効性、安全性について系統レビュー、メタ解析「Efficacy and safety of lowering LDL cholesterol in older patients: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials」の要旨をまとめました。高齢者におけるLDLコレステロール低下治療の臨床的有益性に関しては議論があります。高齢者におけるLDLコレステロール低下治療のエビデンスについて要約するために、2015年から2020年までに公開された論文を、言語指定なし、MEDLINE、Embaseにて収集、系統レビュー、メタ解析を実施しました。2018年のアメリカ心臓学会、アメリカ心臓協会の推奨、LDLコレステロール低下薬、心血管転帰、無作為化対照試験、追跡期間中央値2年間以上、年齢75歳以上を対象とした試験としました。心不全、透析中、ガイドライン推奨ではない脂質低下治療を行っている例は除外しました。LDLコレステロール1mmol/L減少ごとの主要血管事象、心血管死、心筋梗塞、急性冠症候群、脳卒中、冠動脈血行再建の複合のリスク比をメタ解析しました。結果、系統レビュー、メタ解析6記事、24試験、「Cholesterol Treatment Trialists’ Collaboration」メタ解析、5個別解析でした。29試験、244090例、75歳以上21 492例(8·8%)、スタチン試験11750例(54·7%)、エゼチミブ試験6209例(28.9%)、PCSK9阻害薬試験3533例(16.4%)でした。追跡期間中央値2.2年から6.0年でした。LDLコレステロール低下は、高齢者においても主要血管事象3519例のリスク減少と有意に関連、LDLコレステロール1mmol/Lごとに26%低下(RR 0·74 [95% CI 0·61–0·89]; p=0·0019)を認めました。高齢者において、リスク比はスタチン(0·82 [0·73–0·91])、非スタチン(0·67 [0·47–0·95]; p interaction=0·64)で有意差を認めませんでした。高齢者におけるLDLコレステロール低下の有益性は、心血管死(0·85 [0·74–0·98])、心筋梗塞(0·80 [0·71–0·90])、脳卒中(0·73 [0·61–0·87])、冠動脈血行再建(0·80 [0·66–0·96])の複合、各要素において認めました。75歳以上、脂質低下は、75歳未満と同様に心血管事象減少にとって有効でした。本結果は、高齢者において、スタチン以外の治療も含めて、脂質低下治療の使用のガイドラインの推奨を強調するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)32332-1/fulltext
LDLコレステロール低下治療は75歳以上においても一貫していたという報告です。2015年から2020年までのメタ解析なので、スタチンだけではなく、PCSK9阻害薬も登場しています。


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