2020/11/28、待機的経皮的冠動脈形成術におけるチカグレロルとクロピドグレルを比較した研究「Ticagrelor versus clopidogrel in elective percutaneous coronary intervention (ALPHEUS): a randomised, open-label, phase 3b trial」の要旨をまとめました。経皮的冠動脈形成術関連心筋壊死は頻度が高く、長期予後に影響を及ぼす可能性があります。待機的経皮的冠動脈形成術におけるチカグレロルは評価されていませんが、クロピドグレルと比べて周術期の虚血性合併症を減らす可能性があり、現在推奨治療になっています。「ALPHEUS」試験、安定冠動脈疾患に対するハイリスク待機的経皮的冠動脈形成術、周術期心筋壊死をクロピドグレルと比べてチカグレロルは優れているかどうか調べました。「ALPHEUS」試験は、フランス、チェコ共和国、49病院、第IIIb相、無作為化オープンラベル試験です。安定冠動脈疾患、経皮的冠動脈形成術の適応あり、1項目以上のハイリスク特性を持つ例を組み込みました。チカグレロル180mg負荷投与、90mg1日2回30日間、クロピドグレル300mg-600mg負荷投与、75mg1日1回30日間、双方向性ウェブ反応システムを使用、無作為化、中央にて層別化しました。主要評価項目は経皮的冠動脈形成術関連タイプ4心筋梗塞、大心筋障害、安全性の主要評価項目は経皮的冠動脈形成術から48時間以内の大出血としました。一次解析は全事象を意図治療処置に基づいて実施しました。2017年から2020年、49施設、1910例、チカグレロル群956例、クロピドグレル群954例、無作為化しました。チカグレロル群15例、クロピドグレル群12例は除外しました。48時間、主要評価項目はチカグレロル群941例中334例(35%)、クロピドグレル群942例中341例(36%)、有意差なし(odds ratio [OR] 0·97, 95% CI 0·80-1·17; p=0·75)でした。安全性の主要評価項目は2群間でさを認めませんでしたが、30日以内の少出血事象はチカグレロル群はクロピドグレル群と比べて高い頻度(105 [11%] of 941 patients in the ticagrelor group vs 71 [8%] of 942 patients in the clopidogrel group; OR 1·54, 95% CI 1·12-2·11; p=0·0070)でした。待機的経皮的冠動脈形成術後の周術期心筋壊死の減少に関して、チカグレロルはクロピドグレルと比べて優越性を認めませんでしたが、30日間の少出血の発生率が増加しました。本結果は待機的経皮的冠動脈形成術の標準治療としてクロピドグレルの使用を支持するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33202219
待機的経皮的冠動脈形成術の周術期虚血性合併症において、クロピドグレルとチカグレロルで差を認めず、クロピドグレルのほうが出血事象が少なかったという報告です。日本ではプラスグレル(エフィエント)が多い印象です。
2020/11/28、待機的経皮的冠動脈形成術におけるチカグレロルとクロピドグレルを比較した研究「Ticagrelor versus clopidogrel in elective percutaneous coronary intervention (ALPHEUS): a randomised, open-label, phase 3b trial」の要旨をまとめました。