2020/12/1、収縮期血圧介入試験における血圧と日常診療における血圧の差について調べた研究「Concordance Between Blood Pressure in the Systolic Blood Pressure Intervention Trial and in Routine Clinical Practice」の要旨をまとめました。「SPRINT」(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)の結果を日常診療へ応用する際に、標準化プロトコルによる血圧測定を日常診療へ適応することが出来ないという懸念があります。日常診療における血圧と「SPRINT」試験の血圧との解離、目標血圧のばらつきを評価するために、2010年から2015年、SPRINT試験の102参加施設のうち49施設において、50歳以上の高血圧、糖尿病なし、脳卒中の既往なし、3074例、電子カルテデータ情報、外来バイタルサイン情報、観察予後研究を実施しました。2019年から2020年、統計解析を実施しました。日常臨床の測定血圧と「SPRINT」試験の測定血圧を比較しました。個別電子カルテデータ、3074例、男性2482例(80.7%)、平均年齢68.5例、3回以上の外来診療、測定血圧を評価しました。6ヶ月間の試験期間と試験介入の終了時、電子カルテデータに記録された外来の強化治療群の収縮期血圧の中央値は試験の測定血圧と比べて7.3mmHg高値(95% CI, 7.0-7.6 mm Hg)でした。外来電子カルテデータ記録の血圧と試験の収縮期血圧の差の中央値は通常治療群の血圧と同等(4.6 mm Hg [95% CI, 4.4-4.9 mm Hg])でした。Bland-Altman解析の結果、電子カルテデータ記録の外来血圧と試験の測定血圧は低い一致率で、広い信頼区間、両群間で約-30mmHgから+45mmHgでした。さらに、電子カルテデータ記録の測定血圧と試験の測定血圧の差は施設によっても広くばらつきがありました。日常診療における外来測定血圧は「SPRINT」試験の測定血圧と比べて一般的に高値で、収縮期血圧の差の中央値は強化治療群において広い結果でした。電子カルテデータ記録の測定血圧と試験の測定血圧の間には一貫して高い異質性を認め、時間によっても有意なばらつき、症例間、施設間においてもばらつきを認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3304449
「SPRINT」試験における血圧測定と日常診療における血圧測定には解離があり、日常診療においてはばらつきがあるという報告です。当院においても診察室血圧、待合室血圧を測定していますが、急いで来た直後、寒い天気の日は血圧のばらつきが激しいです。家庭血圧優先で評価をしていくことが大切です。
2020/12/1、収縮期血圧介入試験における血圧と日常診療における血圧の差について調べた研究「Concordance Between Blood Pressure in the Systolic Blood Pressure Intervention Trial and in Routine Clinical Practice」の要旨をまとめました。