2020/12/7、第2世代薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後、P2Y12阻害薬単剤による短期間の抗血小板薬2剤併用療法と長期間の抗血小板薬2剤併用療法を比較した研究「Short dual antiplatelet therapy followed by P2Y12 inhibitor monotherapy vs. prolonged dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention with second-generation drug-eluting stents: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials」の要旨をまとめました。

2020/12/7、第2世代薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後、P2Y12阻害薬単剤による短期間の抗血小板薬2剤併用療法と長期間の抗血小板薬2剤併用療法を比較した研究「Short dual antiplatelet therapy followed by P2Y12 inhibitor monotherapy vs. prolonged dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention with second-generation drug-eluting stents: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials」の要旨をまとめました。第2世代薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後、短期間の抗血小板薬2剤併用療法後、P2Y12受容体阻害薬による抗血小板薬1剤療法と、長期の抗血小板薬2剤併用療法と比較した有益性は十分にわかっていませんでした。複数電子データベース、PubMed、Scopus、Web of Sciences、Ovid、ScienceDirectにて、第2世代薬剤溶出性ステント留置にようる経皮的冠動脈形成術後、3ヶ月以内の抗血小板薬2剤併用療法後P2Y12阻害薬による抗血小板薬1剤併用療法と、12ヶ月間の抗血小板薬2剤併用療法、無作為化臨床試験を収集しました。主要評価項目は1年以内の大出血、ステント血栓症としました。調整後無作為化影響モデルにて、ハザード比、95%信頼区間を算出しました。無作為化影響モデル、95%信頼区間調整、複数感度解析を実施しました。P2Y12阻害薬抗血小板薬1剤療法と、アスピリン使用抗血小板薬1剤療法を比較、感度解析を実施しました。5無作為化臨床試験、32145例を入手しました。大出血は短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のP2Y12阻害薬抗血小板薬1剤療法は、12ヶ月間の抗血小板薬2剤併用療法と比べて、有意に低下(random-effects model: HR 0.63, 95% 0.45-0.86)を認めました。ステント血栓症に関しては両群間で有意差なし(random-effects model: HR 1.19, 95% CI 0.86-1.65)、全死亡の副次評価項目(random-effects model: HR 0.85, 95% CI 0.70-1.03)、心筋梗塞(random-effects model: HR 1.05, 95% CI 0.89-1.23)、脳卒中(random-effects model: HR 1.08, 95% CI 0.68-1.74)でした。感度解析は全体として結果を一貫していました。3ヶ月間以下の抗血小板薬2剤併用療法後のP2Y12阻害薬抗血小板薬1剤療法、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法、3ヶ月以下の抗血小板薬2剤併用療法後のアスピリン抗血小板薬1剤療法、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法、治療サブグループにおける各評価項目の相関関係は認めませんでした。全試験を結合、抗血小板薬1剤療法の種類によらずに、短期間の抗血小板薬2剤併用療法は大出血減少(random-effects model: HR 0.63, 95% CI 0.48-0.83)を認めましたが、ステント血栓症、全死亡、心筋梗塞、脳卒中に関しては治療レジメン間に差を認めませんでした。第2世代薬剤溶出性ステント留置後、1-3ヶ月間の抗血小板薬2剤併用療法後P2Y12阻害薬抗血小板薬1剤療法は大出血減少と関連、長期の抗血小板薬2剤併用療法と比べて、ステント血栓症、全死亡、心筋梗塞、脳卒中は同等でした。P2Y12阻害薬抗血小板薬1剤療法とアスピリン抗血小板薬1剤療法の比較のためにはさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33284979
ステント留置後の抗血小板薬について、6-12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法が標準的でありましたが、1-3ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法後、アスピリンまたはP2Y12阻害薬の抗血小板薬1剤療法という選択肢も良さそうであるという報告です。日本では6ヶ月から9ヶ月くらいの抗血小板薬2剤併用療法が多い印象です。詳しくは主治医までご相談ください。

PAGETOP