2020/12/22、心筋梗塞後90日以内の院外心停止の発生率と予測因子について調べた研究「Incidence and Predictors of Out-of-Hospital Cardiac Arrest Within 90 Days After Myocardial Infarction」の要旨をまとめました。

2020/12/22、心筋梗塞後90日以内の院外心停止の発生率と予測因子について調べた研究「Incidence and Predictors of Out-of-Hospital Cardiac Arrest Within 90 Days After Myocardial Infarction」の要旨をまとめました。心筋梗塞後の急性期は心臓突然死のハイリスクです。現在の知識、ガイドラインは主に古い臨床研究、登録研究の結果に基づいています。左室駆出率は心臓突然死の信頼性のある予測因子としては確立していません。現在、全世界にて心筋梗塞後早期の心臓突然死の発生率、追加予測因子を明らかにするために、スウェーデン、心肺蘇生登録研究、ペースメーカー、埋込み型除細動器の登録研究「SWEDEHEART」のデータを解析しました。2009年から2017年、冠動脈造影を実施、心筋梗塞例、埋込み型除細動器なし、90日間追跡しました。Cox回帰モデルにて、院外心停止と臨床パラメータの関係を評価しました。結果、121379例のうち、院外心停止349例(0.29%)、非院外心停止死亡2194例(1.8%)発生しました。全6変数、男性、糖尿病、推算糸球体濾過量30未満、KillipクラスII以上、心房細動、心房粗動の新規発症、左室駆出率の参考値から50%以上の低下、40-49%、30-39%、30%未満に分類、は独立した予測因子として特定、院外心停止の発生率0.12から2.0%、非院外心停止死亡の発生率0.76から11.7%まで3群に分類しました。左室駆出率40%未満によって層別化したところ、院外心停止の発生率0.20%、0.76%、非院外心停止死亡1.1%、4.9%でした。本全国研究にて、心筋梗塞後90日以内の院外心停止の発生率は0.3%未満でした。左室駆出率に5つの臨床パラメータを加えることは、左室駆出率単独に比べて、院外心停止、非院外心停止死亡を予測しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33334420
心筋梗塞後の院外心停止の危険因子として、左室駆出率、男性、糖尿病、腎機能障害、心不全、心房細動、心房粗動が特定されたとの報告です。全体としては院外心停止の発生率は0.29%であったとのことで、心筋梗塞に対する血行再建の治療成績の向上の成果であると言えるでしょう。

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