2020/12/28、現在の薬剤溶出性ステントの標的病変不良について調べたメタ解析「Target Lesion Failure With Current Drug-Eluting Stents: Evidence From a Comprehensive Network Meta-Analysis」の要旨をまとめました。現在使用されている薬剤溶出性ステントの有効性、安全性を調べました。新規の薬剤溶出性ステントの直接比較の結果は一致していませんでした。ネットワークメタ解析、現在使用されている薬剤溶出性ステントの種類を比較した無作為化対照試験を対象に、PubMed、Scopus、国際会議の議事録から収集しました。主要評価項目は1年後、長期追跡の標的病変不良(target lesion failure: TLF)としました。結果、77試験、99039例、ネットワークメタ解析に組み込みました。10種類の薬剤溶出性ステントをメタ解析、4種類、Orsiro、XIENCE、Nobori/BioMatrix、Resoluteが最も広く使用されていました。1年後、OrsiroのステントはXIENCEと比べて、標的病変不良の低い発生率と関連(odds ratio [OR]: 0.84; 95% confidence interval [CI]: 0.71 to 0.98; p = 0.03)、Resolute(OR: 0.81; 95% CI: 0.68 to 0.95; p = 0.01)、Nobori/BioMatrix(OR: 0.81; 95% CI: 0.67 to 0.98; p = 0.03)でした。Orsiroは最も良い選択の高い可能性(70.8%)、累積ランキング曲線下表面値95.9%でした。しかしながら、中央値50ヶ月の追跡後、全ての薬剤溶出性ステントにおいて標的病変不良の発生率において有意差を認めませんでした。Orsiroは依然として最良のランキング(58.6% probability to be the best)でした。さらに、OrsiroはNobori/BioMatrixと比べて、長期の確定ステント血栓症の低い発生率と関連(OR: 0.60; 95% CI: 0.36 to 0.98; p = 0.04)、Resoluteと比べて確定または疑いのステント血栓症の低い発生率と関連(OR: 0.66; 95% CI: 0.45 to 0.99; p = 0.04)していました。薬剤溶出性ステント間の心死亡率の差は認めませんでした。Orsiroは、XIENCE、Resolute、Nobori/BioMatrixと比べて1年後の標的病変不良の低い発生率と関連を認めましたが、長期追跡では有効性は減衰しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33357524
現在頻繁に使用されている薬剤溶出性ステント、「Orsiro」「XIENCE」「Nobori/BioMatrix」「Resolute」を比較したメタ解析です。短期的にはOrsiroが良さそうであるという結果ですが、長期的には死亡率に差がありませんでした。このへんは術者の判断に任せるのが良いでしょう。
2020/12/28、現在の薬剤溶出性ステントの標的病変不良について調べたメタ解析「Target Lesion Failure With Current Drug-Eluting Stents: Evidence From a Comprehensive Network Meta-Analysis」の要旨をまとめました。