2020/12/28、小冠動脈疾患に対して薬剤コーテッドバルーンと薬剤溶出性ステントを比較した研究「Drug-Coated Balloon Versus Drug-Eluting Stent for Small Coronary Vessel Disease: PICCOLETO II Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/12/28、小冠動脈疾患に対して薬剤コーテッドバルーンと薬剤溶出性ステントを比較した研究「Drug-Coated Balloon Versus Drug-Eluting Stent for Small Coronary Vessel Disease: PICCOLETO II Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。新規病変に対して、新規の薬剤コーテッドバルーン(drug-coated balloon: DCB)「Elutax SV, Aachen Resonance, Germany」と、エベロリムス溶出性ステント(everolimus-eluting stent: EES)「Abbott Vascular, Santa Clara, California」を比較しました。小血管冠動脈疾患は薬剤コーテッドバルーンの良い適応です。現在までに、様々なデバイスが薬剤溶出性ステントと比較されて来ましたが、異なる転帰でした。「PICCOLETO II」(Drug Eluting Balloon Efficacy for Small Coronary Vessel Disease Treatment)試験は、新規の小血管疾患病変に対して、薬剤コーテッドバルーンとエベロリムス溶出性ステントに無作為化、国際医師主導型多施設オープンラベル前向き無作為化対照試験です。主要評価項目は6ヶ月後の独立中央検査施設によって評価した病変内晩期血管径損失(late lumen loss: LLL)、非劣性評価としました。副次評価項目は12ヶ月後、血管造影追跡による最小血管径、血管径狭窄率、主要有害心事象の発生としました。結果、2015年から2018年、5施設、232例参加しました。中央値189日間後、病変内晩期血管径損失は、薬剤コーテッドバルーン群は薬剤溶出性ステント群と比べて有意に低値(0.04 vs. 0.17 mm; p = 0.001 for noninferiority; p = 0.03 for superiority)を認めました。血管径狭窄率、最小血管径は有意差なしでした。12ヶ月臨床追跡、主要有害心事象は、薬剤溶出性ステント群7.5%、薬剤コーテッドバルーン群5.7%、有意差なし(p = 0.55)でした。心筋梗塞(4.7% vs. 1.9%; p = 0.23)、血管血栓症(1.8% vs. 0%; p = 0.15)は薬剤溶出性ステント群にて数値的には高値の傾向でした。新規の小血管疾患病変の多施設無作為化臨床試験の結果、新世代の薬剤コーテッドバルーンはエベロリムス溶出性ステントと比べて、血管造影所見の晩期血管径損失において優れており、臨床転帰においては同等でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33248978
血管径の小さい冠動脈病変に対して薬剤溶出性ステントと薬剤コーテッドバルーンを比較したところ、薬剤コーテッドバルーンのほうが良さそうであるという結果です。血管が小さ過ぎる場所にはステントを置かないほうが良い場合もあるということです。このへんも術者の判断に任せるのが良いでしょう。

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