2021/2/1、安定冠動脈疾患に対して、血行再建と薬物療法を比較したメタ解析「Revascularization versus medical therapy for the treatment of stable coronary artery disease: A meta-analysis of contemporary randomized controlled trials」の結果が発表されました。


2021/2/1、安定冠動脈疾患に対して、血行再建と薬物療法を比較したメタ解析「Revascularization versus medical therapy for the treatment of stable coronary artery disease: A meta-analysis of contemporary randomized controlled trials」の結果が発表されました。安定冠動脈疾患において、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術または両方の血行再建治療と薬物療法を受けた群と、薬物療法単独群を比較した無作為化対照試験の系統レビュー、メタ解析を実施しました。MEDLINE、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceにて、2020年4月までの前向き無作為化対照試験を抽出しました。相対リスク、95%信頼区間、全死亡、心筋梗塞、再血行再建、再入院、脳卒中の複合を蓄積、個別症例、心血管評価項目を解析しました。結果、12の無作為化対照試験、15774例を組み込みました。全死亡リスク(0.95, 95% CI: 0.86-1.06)には有意差を認めませんでしたが、しかしながら、血行再建と薬物療法群は、全死亡、心筋梗塞、再血行再建、再入院、脳卒中の複合転帰(0.69, 95% CI: 0.55-0.87)、致死的心筋梗塞(0.53, 95% CI: 0.40-0.71)リスクの減少を認めました。血行再建と薬物療法群は1年後の脳卒中(0.44, 95% CI: 0.30-0.65)、予定外の再血行再建、2年後から5年後の全死亡、心筋梗塞、再血行再建、再入院、脳卒中の複合転帰リスクを減少しました。安定冠動脈疾患において、血行再建と薬物療法は薬物療法と比べて生存優位性に寄与しませんでした。しかしながら、血行再建と薬物療法は主に予定外の再血行再建、致死的心筋梗塞の減少によって、死亡率、心筋梗塞、再血行再建、再入院、脳卒中の複合転帰を減少する可能性がありました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33068645
安定冠動脈疾患の血行再建の便益性ですが、全死亡は有意差なし、致死的心筋梗塞47%減少、脳卒中56%減少、2年後以降は主要評価項目に差を認めたとの報告です。議論が分かれそうな結果ですが、心筋梗塞、脳卒中のリスクを下げるという意味では血行再建は良さそうですし、薬物療法のみという管理も正当化される結果とも言えます。

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