心疾患のマーカー「BNP」の説明をまとめました。

心疾患のマーカー「BNP」の説明をまとめました。BNPは循環器内科では非常に頻繁に調べる血液検査の項目です。BNPとは一言で言うと、「心臓の負担」の程度をみる血液検査です。BNPとは、心臓から分泌されるホルモンで、心臓への負担が大きいほど多く分泌されます。BNPが高い数値の場合は、心臓に何らかの負担が掛かっているということがわかります。

BNPの値だけで診断をすることは出来ませんが、目安としてBNPが40未満の場合は心疾患は否定的であること、BNPが400以上であれば何らかの心疾患の存在が疑われます。BNPが100から200程度に関しては心疾患が見付かることもあればそうでないこともあります。心臓の負担とは、より厳密に言うと、壁応力、伸展ストレスに応じて分泌されます。心不全以外でも、重度の高血圧症、心房細動等の不整脈でも軽度上昇します。腎機能低下の場合でも軽度高値となります。BNPの値だけでなく、心電図、胸部レントゲン、心エコー、心臓MRI、冠動脈CT等、総合的に評価していきます。既に心不全と診断されている場合は、心不全のフォローのために定期的にチェックします。BNPはとても有用な検査なのですが、一般の健康診断の採血検査では取らない項目で、循環器内科で追加で採血が必要な理由の一つです。BNPではなく、NT-proBNPで検査をする場合もあります。詳しくは日本心不全学会のホームページをご覧ください。

http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp201300403.html

実は、この優れたBNPというマーカーは、日本人が発見したものです。1988年、国立循環器病研究センター研究所の松尾壽之先生、寒川賢治先生らです。世界でも広く使われている心疾患のマーカーです。


【お茶の水循環器内科になりました】

2018年9月、お茶の水循環器内科は5年目を迎えました。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関に生まれ変わりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、心血管疾患の危険因子をコントロールすることで予防が可能です。具体的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続をすることが重要で、そのために夜間や土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
2018年4月1日、お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法
・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法
・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病
・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お気軽に主治医までご相談ください。

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