「循環器内科.com」に「埋込型除細動器」についてまとめました。

「循環器内科.com」に「埋込型除細動器」についてまとめました。
埋込型除細動器→http://循環器内科.com/icd


【埋込型除細動器とは】

埋込型除細動器(Implantable cardioverter defibrillator: ICD)とは、致死的不整脈に対して除細動器を体内に埋め込む治療法です。心室細動や心室頻拍などの致死的不整脈は以前はほとんど救命が難しかったのですが、日本では1996年の保険承認以降、速やかに除細動を行うことで救命率が向上して来ました。公共施設等に設置されており体外から除細動を行うものを自動体外式除細動器(Automated external defibrillator: AED)と言います。AEDをご存知の方は小型のAEDの埋込版と言ったほうがわかりやすいかも知れないです。洞不全症候群や高度の房室ブロックなどの重度の徐脈性不整脈に対しては心臓ペースメーカーが適応になります。詳しくは国立循環器病研究センター、日本不整脈心電学会のページをご覧ください。

「ペースメーカーと植え込み型除細動器」→http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph47.html

http://new.jhrs.or.jp/public/lecture/lecture-3/lecture-3-d

【埋込型除細動器の適応】

埋込型除細動器の適応について「不整脈の非薬物療法ガイドライン」に目安が記載されていますが、個々の患者に対しては、最終的な判断は患者の臨床的、社会的背景を考慮して決定するようにとガイドラインにも記載されています。具体的には、冠動脈疾患、心不全、拡張型心筋症、原因不明の失神、肥大型心筋症、Brugada症候群、先天性QT延長症候群、などで、埋込型除細動器の適応を定めています。

「不整脈の非薬物治療ガイドライン」では、ACC/AHAガイドラインに基づき、推奨度を以下の4つに分類されています。

(1)クラスⅠ:有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている

(2)クラスⅡa:有益であるという意見が多いもの

(3)クラスⅡb:有益であるという意見が少ないもの

(4)クラスⅢ:有益でないまたは有害であり,適応でないことで意見が一致している

「不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_okumura_h.pdf

以下、各論です。

まずは、致死的不整脈の既往があるかどうかで区別して議論します。具体的には、

二次予防:過去に心肺停止、持続性心室頻拍、心室細動の心電図が記録されている場合

一次予防:心室頻拍が非持続性である場合、失神を認めるが心電図で不整脈が記録されていない場合,あるいは低心機能のために突然死、不整脈死のリスクが高い場合等

ICDによる二次予防

Class Ⅰ:

1.心室細動が臨床的に確認されている場合

2.器質的心疾患に伴う持続性心室頻拍を有し,以下の条件を満たすもの

(1)心室頻拍中に失神を伴う場合

(2)頻拍中の血圧が80mmHg以下,あるいは脳虚血症状や胸痛を訴える場合

(3)多形性心室頻拍

(4)血行動態の安定している単形性心室頻拍であっても,薬物治療が無効または副作用のため使用できない場合や薬効評価が不可能な場合,あるいはカテーテルアブレーションが無効あるいは不可能な場合

ClassⅡa:

1.器質的心疾患に伴う持続性心室頻拍がカテーテルアブレーションにより誘発されなくなった場合

2.器質的心疾患に伴う持続性心室頻拍を有し,臨床経過や薬効評価にて有効な薬剤が見つかっている場合

ClassⅡb:

1.急性の原因(急性虚血,電解質異常,薬剤等)による心室頻拍,心室細動の可能性が高く,十分な治療にもかかわらず再度その原因に暴露されるリスクが高いと考えられる場合

ClassⅢ:

1.カテーテルアブレーションや外科的手術により根治可能な原因による心室細動,心室頻拍(WPW症候群における頻脈性心房細動・粗動や特発性持続性心室頻拍)

2.12か月以上の余命が期待できない場合

3.精神障害等で治療に際して患者の同意や協力が得られない場合

4.急性の原因(急性虚血,電解質異常,薬剤等)が明らかな心室頻拍,心室細動で,その原因の除去により心室頻拍,心室細動が予防できると判断される場合

5.抗不整脈薬やカテーテルアブレーションでコントロールできない頻回に繰り返す心室頻拍あるいは心室細動

6.心移植,心臓再同期療法(CRT),左室補助装置(LVAD)の適応とならないNYHAクラスⅣの薬物
治療抵抗性の重度うっ血性心不全

器質的心疾患を有する患者に対する一次予防

ClassⅠ:

1.冠動脈疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全で,十分な薬物治療を行ってもNYHAクラスⅡ またはクラスⅢの心不全症状を有し,かつ左室駆出率35%以下で,非持続性心室頻拍を有する場合

2.NYHAクラスⅠで冠動脈疾患,拡張型心筋症に基づく左室機能低下(左室駆出率35%以下)と非持続性心室頻拍を有し,電気生理検査によって持続性心室頻拍または心室細動が誘発される場合

Class Ⅱa:

1.冠動脈疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全で,十分な薬物治療を行ってもNYHAクラスⅡまたはクラスⅢの心不全症状を有し,左室駆出率35%以下の場合

ClassⅢ:

1.器質的心疾患を伴わない特発性の非持続性心室頻拍

原因不明の失神

ClassⅠ:

1.冠動脈疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全で,十分な薬物治療を行ってもNYHAクラスⅡまたはクラスⅢの心不全症状を有し,かつ左室駆出率35%以下の場合

Class Ⅱa:

1.冠動脈疾患あるいは拡張型心筋症に伴う中等度の心機能低下(左室駆出率36~50%かつNYHAクラスⅠ)があり,電気生理検査にて心室頻拍または心室細動が誘発される場合

Class Ⅲ:

1.心機能低下を認めず,肥大型心筋症,Brugada症候群(薬剤誘発性を含む),早期興奮症候群,QT短縮症候群等の致死的不整脈の原因が否定され,かつ電気生理検査にて心室頻拍または心室細動が誘発されない場合

肥大型心筋症

Class Ⅰ:

1.過去に持続性心室頻拍,心室細動,心肺停止の既往を有する場合

Class Ⅱa:

1.非持続性心室頻拍,突然死の家族歴,失神,左室壁厚30mm以上,運動時の血圧反応異常のいずれかを認める場合

Brugada症候群

Class Ⅰ:

1.心停止蘇生例

2.自然停止する心室細動,多形性心室頻拍が確認されている場合

ClassⅡa:

1.Brugada型心電図(coved型)を有する例で,以下の3項目のうち,2項目以上を満たす場合

(1)失神の既往

(2)突然死の家族歴

(3)電気生理検査で心室細動が誘発される場合

ClassⅡb:

1.Brugada型心電図(coved型)を有する例で,上記の3項目のうち,1項目のみを満たす場合

先天性QT延長症候群

ClassⅠ:

1.心室細動または心停止の既往を有する患者

ClassⅡa:

1.torsade de pointesまたは失神の既往を有し,β遮断薬が無効の場合

2.突然死の家族歴を認め,β遮断薬が無効の場合

ClassⅡb:

1.torsade de pointesまたは失神の既往を有するが,β遮断薬が有効な場合

2.突然死の家族歴を認めるが,β遮断薬が有効な場合

その他の埋込型除細動器の適応については、「不整脈の非薬物療法ガイドライン」をご覧ください。

「不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_okumura_h.pdf

【埋込型除細動器が必要な場合】

埋込型除細動器による治療は「ICD認定施設」という病院にて行う必要があります。埋込型除細動器による治療が必要な場合、専門の専門病院を紹介します。首都圏であれば多くの大学病院、総合病院があります。詳しくは日本不整脈デバイス工業会の認定施設一覧をご覧ください。

https://www.jadia.or.jp/citizens/icd-nintei.html#tokyo

日本不整脈心電学会「デバイス治療に関するガイドライン」→http://new.jhrs.or.jp/guideline/guideline02/device-guide

【重要】来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
東京都医療機関案内サービスひまわり:03-5272-0303
https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop

【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン管理、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。

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