2020/1/14(火)、慢性冠症候群の長期予後について調べた研究「Long-term outcomes of chronic coronary syndrome worldwide: insights from the international CLARIFY registry」の結果をまとめました。慢性冠症候群(chronic coronary syndrome)の長期予後を調べるために、45カ国、2009年から2010年、3万2703例、前向き観察研究「CLARIFY registry」の5年間追跡のデータを解析しました。一次アウトカム(心血管死、非致死性心筋梗塞)は男性8.0%、女性7.6%に発生、解析の結果、独立した危険因子として、心不全による入院歴、現在の喫煙、心房細動、中南米在住、心筋梗塞の既往、脳卒中の既往、過去の喫煙歴、糖尿病、現在の狭心症、末梢動脈疾患が特定されました。狭心症と心筋梗塞は有意な関連(P=0.0016)を認め、心筋梗塞と狭心症の既往は、狭心症の既往がない場合に比べて、有意にリスク増加(11.8% 95%CI 10.9–12.9 vs 8.2% 95%CI 7.8–8.7 P<0.001)を認めました。心筋梗塞の既往がない場合は、狭心症の既往がない場合と比べて差(6.3% 95%CI 5.4–7.3 vs 6.4% 95%CI 5.9–7.0 P>0.99)を認めませんでした。エビデンスに基づいた二次予防療法の処方の実施率は高いにも関わらず、狭心症や心筋梗塞の既往がある場合の再発のリスクは高く、強化治療が必要であると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/3/347/5556903
心筋梗塞や狭心症の既往がある場合は再発のリスクが高いと、特に新しい発見ではありませんが、二次予防においても積極的に力を入れなくてはならないという研究結果です。独立した危険因子として特定されたもののうち、意志で修正可能なものは、現在の喫煙歴と糖尿病の改善くらいでしょうか。
2020/1/14(火)、慢性冠症候群の長期予後について調べた研究「Long-term outcomes of chronic coronary syndrome worldwide: insights from the international CLARIFY registry」の結果をまとめました。