2020/1/22(水)、心房細動入院のハイリスク群に対するアラートによるコンピュータ判定システムの有効性について調べた研究「Alert-based computerized decision support for high-risk hospitalized patients with atrial fibrillation not prescribed anticoagulation: a randomized, controlled trial: AF-ALERT」の結果についてまとめました。

2020/1/22(水)、心房細動入院のハイリスク群に対するアラートによるコンピュータ判定システムの有効性について調べた研究「Alert-based computerized decision support for high-risk hospitalized patients with atrial fibrillation not prescribed anticoagulation: a randomized, controlled trial: AF-ALERT」の結果についてまとめました。リスク層別化ツール、抗凝固薬の安全性と有効性、ガイドラインによる推奨があるにも関わらず、心房細動による脳卒中予防は十分ではありません。心房細動で入院した脳梗塞のハイリスク群に対して抗凝固薬処方のツールとして、アラートによるコンピュータ意思決定サポート(computerized decision support: CDS)システムがあります。ブリガムアンドウィメンズ病院に入院したCHA2DS2-VAScスコア1点以上の心房細動458例を対象に、アラートによる介入群248例と対照群210例に分け、有効性の一次アウトカムは抗凝固薬の処方率としました。結果、アラート群は抗凝固薬の処方率は、入院中(25.8% vs 9.5% P<0.0001)、退院時(23.8% vs 12.9% P=0.003)、90日後時点(27.7% vs 17.1% P=0.007)といずれも有意差を認めました。アラートによって90日後の死亡率、心筋梗塞、脳血管イベント、全身性塞栓症は有意に低下(11.3% vs 21.9% P=0.002 OR 0.45 95%CI 0.27–0.76)を認めました。アラートは90日後の心筋梗塞を87%減少(1.2% vs 8.6% P=0.0002 OR 0.13 95%CI 0.04–0.45)、 90日後の脳血管イベント、全身性塞栓症を88%減少(0% vs 2.4% P=0.02 OR 0.12 95% CI 0.0–0.91)させました。アラートによるCDSは入院中の心房細動のハイリスク群に対して抗凝固薬の処方を増やし、心筋梗塞や脳卒中を含む主要心血管イベントを減らしました。詳しくは論文をご覧ください。
https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/10/1086/5521151
コンピューターによる意思決定支援(computerized decision support: CDS)システムの有用性の報告です。抗凝固療法が必要な例に対して抗凝固療法が必要という適切なアラートを出すことによって、処方率が向上し、退院後の心筋梗塞や脳卒中が減少したという研究結果です。一般的に心筋梗塞の予防のためには抗血小板薬が使われますが、今回は抗血小板薬ではなく抗凝固薬の処方でここまで心筋梗塞が減るのかという疑問と、意思決定支援システムの導入前にそもそも適切な処方がなされていなかった例が多過ぎるのではないかという疑問が残りますが、日本とアメリカでは事情が異なるのでしょうか。

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