2020/2/1(土)、ワルファリンと非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 の骨折リスクについて調べた研究「Fracture risks among patients with atrial fibrillation receiving different oral anticoagulants: a real-world nationwide cohort study」の結果をまとめました。心房細動でワルファリンまたは非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist oral anticoagulants: NOACs)の骨折リスクを評価するために、台湾の全国健康保険研究データベースを用いたリアルワールド後ろ向きコホート研究を行いました。2012年から2016年まで、新規に心房細動と診断され、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)かワルファリンの処方を受けた19414例を対象に、2017年まで追跡しました。中央値2.4年間の追跡の結果、ワルファリンに比べて非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬は、骨折リスクの有意な低下(aHR 0.84 95%CI = 0.77–0.93 P<0.001)を認めました。サブ解析では、ダビガトラン(aHR = 0.88 95%CI = 0.78–0.99 P=0.027)、リバーロキサバン(aHR = 0.81 95%CI = 0.72–0.90 P<0.001)、アピキサバン(aHR = 0.67 95%CI = 0.52–0.87 P=0.003)はいずれも骨折リスクの低下を認めました。ワルファリンに比べて、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬は骨折リスクの低下と関係していました。骨折リスクの低下のためには、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬がワルファリンよりも考慮されると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→https://academic.oup.com/eurheartj/article-abstract/41/10/1100/5718429
ワルファリンはビタミンK拮抗薬とも呼ばれ、ビタミンK依存性凝固因子を阻害することで抗凝固作用を発揮しますが、ビタミンKは骨形成、骨吸収などの正常な骨代謝においても関係しており、ワルファリンによる骨代謝への影響が懸念されています。一方で、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬は、凝固因子のXaやトロンビンを直接阻害するのみで骨代謝への影響はないと考えられています。ワルファリン内服中の骨折は出血合併症も懸念されますので、少しでも出血リスクの少ない抗凝固薬を選びたいものです。ワルファリンの骨折リスクについてはアメリカでも同様の研究結果が報告されています。
「Association of Anticoagulant Therapy With Risk of Fracture Among Patients With Atrial Fibrillation」→https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2755293
詳しくは主治医までご相談ください。
2020/2/1(土)、ワルファリンと非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 の骨折リスクについて調べた研究「Fracture risks among patients with atrial fibrillation receiving different oral anticoagulants: a real-world nationwide cohort study」の結果をまとめました。