2020/3/11(水)、自転車通勤と入院が必要な外傷との関係を調べたイギリスの研究「Association of injury related hospital admissions with commuting by bicycle in the UK: prospective population based study」の結果をまとめました。

2020/3/11(水)、自転車通勤と入院が必要な外傷との関係を調べたイギリスの研究「Association of injury related hospital admissions with commuting by bicycle in the UK: prospective population based study」の結果をまとめました。自転車通勤(bicycle commuting)と外傷リスクが関係があるか調べるために、UKバイオバンクの登録者230390例について、主な通勤方法のパターンを、徒歩、自転車、非活動的(自動車、公共交通機関)に分類、外傷で医療機関受診の発生を追跡しました。結果、自転車通勤5704例(2.5%)、中央値8.9年間の追跡期間の間に、全体で10241例(4.4%)の外傷が発生、自転車通勤の外傷397例(7.0%)、7698例(4.3%)は非活動的(自動車または公共交通機関)でした。社会人口統計学的、生活習慣等の交絡因子を調整後、自転車通勤は外傷リスクの増加と関連(HR 1.45 95%CI 1.30 to 1.61)を認めました。同様の傾向は徒歩と自転車通勤の群でも認められましたが、徒歩通勤のみでは外傷リスク増加とは関連を認めませんでした。自転車通勤の距離が長いことは外傷リスクの増加と関連していましたが、非活動的な通勤方法では通勤距離は関係ありませんでした。自転車通勤は外傷の数にも関係していました。一方で、自転車通勤は心血管疾患、がん、死亡リスクの低下と関係していました。因果関係あるとすると、1000人が自転車通勤に変えた場合、10年間で、26例の外傷が増加し、15例のがんが減少し、4例の心血管疾患が減少し、3例の死亡が減少するに相当すると見積もられます。非活動的な通勤と比べて、自転車通勤は外傷の増加に関連していましたが、活動的な通勤による健康上のベネフィットと対照的に考えるべきで、自転車通勤の安全性の確保も重要だろうと論文ではまとめています。
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m336
自転車通勤は健康上のベネフィットも大きいが、外傷が45%増加するという報告です。9年間の追跡で自転車通勤者の7.0%に外傷が発生とのことで、まあそんなものかなあという印象です。満員電車の通勤が嫌な人はこの機会に自転車通勤に変えてみるのも良いでしょう。

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