2020/3/24(火)、血管造影後の造影関連急性腎障害と重大有害事象について調べた研究「Contrast-Associated Acute Kidney Injury and Serious Adverse Outcomes Following Angiography」の結果をまとめました。

2020/3/24(火)、血管造影後の造影関連急性腎障害と重大有害事象について調べた研究「Contrast-Associated Acute Kidney Injury and Serious Adverse Outcomes Following Angiography」の結果をまとめました。
造影関連急性腎障害(Contrast-associated acute kidney injury: CA-AKI)は重大有害事象リスク増加と関連しています。臨床的に有意となる造影関連急性腎障害について大規模な前向きコホート研究は十分ではありませんでした。造影関連急性腎障害後の重大有害事象転帰発生の相対リスクと血管造影前の推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate: eGFR)と有害事象との関係を調べるために、「PRESERVE」(Prevention of Serious Adverse Outcomes Following Angiography)試験では4418例の事前データ、造影関連急性腎障害の転帰、死亡、透析の必要、持続的な腎機能障害の複合を90日間追跡しました。
臨床的に有意な造影関連急性腎障害と造影関連急性腎障害の予測因子としてベースラインの推算糸球体濾過量と90日後の転帰との関係を調べました。結果、造影関連急性腎障害は90日後の死亡、透析の必要、持続的な腎機能障害の相対リスクを増加(HR 3.93 95%CI 2.82 to 5.49 p<0.0001)させ、臨床的に有意な造影関連急性腎障害の発生率は1.2%(53例/4418例)でした。造影関連急性腎障害は血管造影前の推算糸球体濾過量と一次転帰の予測因子ではありませんでした。造影関連急性腎障害は90日後の重大有害事象の相対リスクの増加に関係していますが、臨床的に有意な造影関連急性腎障害の発生率は低い(very low)でした。造影関連急性腎障害は血管造影前の推算糸球体濾過量との関連を認めませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/75/11/1311
造影剤を使う検査では造影剤関連の急性腎障害が一定割合で発生します。検査前の推算糸球体濾過量が悪くなければ心配ないと考えることが多いのですが、今回の研究では検査前の推算糸球体濾過量は関係がなかったとのことです。頻度は低い(very low)とは論文には書いてありますが、1.2%は極めて稀という訳ではなく、1000人に12人という頻度です。造影剤が必要な検査では注意しなければいけないと改めて感じました。


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