2020/2/20(木)、閉塞性虚血性脳卒中において血栓回収療法前のテクネプラーゼ血管内投与の再開通効果について調べた研究「Effect of Intravenous Tenecteplase Dose on Cerebral Reperfusion Before Thrombectomy in Patients With Large Vessel Occlusion Ischemic Stroke: The EXTEND-IA TNK Part 2 Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。
テクネプラーゼ(tenecteplase)の血管内投与による血栓溶解療法(thrombolysis)は、虚血性脳卒中において、アルテプラーゼ(alteplase)に比べて、血管内血栓回収療法前に行うことで、再開通を改善します。大血管閉塞による虚血性脳卒中において、血管内血栓回収療法の前のテクネプラーゼ0.40 mg/kgの投与は、0.25 mg/kgの投与に比べて、安全に再開通を改善するかどうか調べるために、オーストラリア、ニュージーランドにて、27病院、無作為化試験を実施しました。2017年から2019年まで、頭蓋内内頚動脈、脳底動脈、中大脳動脈の閉塞による虚血性脳卒中で、発症から4.5時間以内で通常の血栓溶解療法の適応基準を満たす300例を対象に、オープンラベルで、0.40 mg/kg(上限40mg)150例、0.25 mg/kg(上限25mg)150例を、血管内血栓回収療法の前にボーラス投与しました。一次転帰は、盲検で2名の神経放射線科医(neuroradiologists)の評価による虚血領域の50%以上の再開通です。二次転帰は90日後の機能障害(modified Rankin Scale score: mRS)で、mRS 0-1(障害なし)かベースラインからの変化なし、mRS 0-2(機能自立なし)かベースラインからの変化なし、3日後時点における神経改善不良、36時間以内の症候性の頭蓋内出血、全死亡です。結果、平均年齢72.7歳、女性47%、責任血管領域の50%以上の再開通を認めた例は、0.40 mg/kg群29例(19.3%)、0.25 mg/kg群29例(19.3%)、未調整リスク差(0.0% 95%CI −8.9% to −8.9%)、調整後リスク比(HR 1.03 95%CI 0.66-1.61 P=0.89)でした。6つの二次転帰、全死亡と症候性頭蓋内出血を除く4つの機能転帰は、両群間で有意差(26 vs 22 unadjusted risk difference 2.7% 95%CI −5.6% to 11.0%)を認めませんでした。症候性頭蓋内出血(7 vs 2 unadjusted risk difference 3.3% 95%CI −0.5% to 7.2%)は高容量群で多い傾向にありました。大血管閉塞による虚血性脳卒中において、血管内血栓回収療法の前の0.40 mg/kgのテクネプラーゼの投与は、0.25 mg/kgの投与と比べて、再開通を優位に改善しませんでした。0.40 mg/kgのテクネプラーゼの投与は、0.25 mg/kgの投与と比べて、血管内血栓回収療法が計画されている大血管閉塞による虚血性脳卒中においてアドバンテージがないことがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2761799
テクネプラーゼをより高容量で投与しても効果は向上しなかったという結果です。
2020/2/20(木)、閉塞性虚血性脳卒中において血栓回収療法前のテクネプラーゼ血管内投与の再開通効果について調べた研究「Effect of Intravenous Tenecteplase Dose on Cerebral Reperfusion Before Thrombectomy in Patients With Large Vessel Occlusion Ischemic Stroke: The EXTEND-IA TNK Part 2 Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。