2020/5/7、BCGワクチンはCOVID-19の死亡率低下と因果関係はあるか調べた研究「Is BCG Vaccination Causally Related to Reduced COVID-19 Mortality?」の結果をまとめました。

2020/5/7、BCGワクチンはCOVID-19の死亡率低下と因果関係はあるか調べた研究「Is BCG Vaccination Causally Related to Reduced COVID-19 Mortality?」の結果をまとめました。SARS-CoV-2(severe acute respiratory sickness coronavirus 2)のパンデミックの結果、2020/5/6時点で全世界で3600000例以上がCOVID-19と確定、260000例以上の死亡が確認されています。最近、BCGワクチンがCOVID-19の死亡率低下を関連があるのではないかと仮説が浮上しています。最新のデータからも、COVID-19の発生率、総死亡とBCGワクチンの接種の有無と強い関連があるという報告があります。BCGワクチンを接種している8つの国のうち7つは、総死亡が100万人のうち40例以下と低値に留まっており、6つのBCGワクチン株をセットで使用しています。一方で、COVID-19の死亡率が高い国では、BCGワクチンが普及していなかったり、ハイリスク群のみに限定されています。COVID-19の死亡率が高い国では、BCGワクチンが20年以上前に中止されている場合もあります。デンマーク株(Denmark strain)のBCGワクチンが一律、一時的に使用されていることがあります。BCGワクチンとCOVID-19の死亡率の低下は因果関係があるのかどうか、BCGのワクチン株の違いは死亡率の差に影響しているのかどうかの疑問が浮上しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32379923
日本ワクチン学会は、BCGワクチンは有効かどうか否定も肯定も推奨しないという姿勢を取っています。BCGワクチンは結核菌に対するワクチンですが、結核菌以外の感染症に対しても有効であることが知られています。これは「訓練免疫」(training immunity)という考え方があり、炎症性サイトカイン、自然免疫系に作用し、結核菌以外も含む感染症全般に対する免疫力の活性化を促しているという報告があります。BCGワクチンは、1921年、パリのパスツール研究所の原株が起源です。その後、世界各国に分与され、各国の研究機関等で代々培養されているとのことですが、分与の時期によって大きく「前期分与株」と「後期分与株」の2つに分類、前期分与株のほうが生菌数が多く、訓練免疫が発揮されやすいとの考え方があるようです。日本株、ロシア株は前期分与株で、デンマーク株は後期分与株で、日本株は、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞の増殖、Th1サイトカインの産生、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-24の発現レベルが亢進していたとの報告もあるとのことです。BCGワクチンも奥が深いですね。メディカルトリビューンに同様の記事がありました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0525530340


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