2020/6/25、慢性腎臓病の進行におけるアロプリノールの効果について調べた研究「Effects of Allopurinol on the Progression of Chronic Kidney Disease: CKD-FIX Study」の結果をまとめました。血清尿酸値の上昇は慢性腎臓病の進行と関連していますが、アロプリノールによる尿酸低下療法が進行リスクを持つ慢性腎臓病において、推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate: eGFR)の低下を抑制するかどうかは十分にわかっていません。無作為化比較対照試験として、ステージIIIからステージIVの慢性腎臓病で、痛風発作の既往なく、尿中アルブミンクレアチニン比265以上または、推算糸球体濾過量が前年度から少なくとも3以上低下、アロプリノール100mgから300mgの投与群とプラセボ群に無作為に割り振り、比較しました。一次転帰は104週後時点の慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)のクレアチニン式による推算糸球体濾過量の変化としました。結果、620例のうちアロプリノール群369例、プラセボ群184例、無作為に割り振られた時点で、登録の遅れによって募集は中止されました。無作為化後、各群3例が離脱しました。363例、平均推算糸球体濾過量31.7、平均尿中アルブミンクレアチニン比716.9、平均血清尿酸値8.2、一次転帰の評価のために追跡しました。推算糸球体濾過量の変化はアロプリノール群、プラセボ群で有意差(−3.33 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% confidence interval {CI}, −4.11 to −2.55] and −3.23 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% CI, −3.98 to −2.47], respectively; mean difference, −0.10 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% CI, −1.18 to 0.97]; P=0.85)を認めませんでした。重大有害事象はアロプリノール群182例中84例(46%)、プラセボ群181例中79例(44%)報告されました。慢性腎臓病で進行リスクの高い群において、アロプリノールによる尿酸低下療法はプラセボと比較して推算糸球体濾過量の低下を抑制しませんでした。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915833
尿酸低下薬アロプリノールは尿酸値が高い場合、痛風発作を繰り返している場合に痛風発作の予防目的として投与されますが、慢性腎臓病に対して一律に投与しても腎機能を守る効果は認められなかったという報告です。痛風発作を繰り返すと痛風腎と言って腎機能悪化の原因にはなりますが、一律の投与では差は着きませんでした。尿酸低下薬はどれくらい痛風発作を防ぎたいかで使うかどうかを決めて良いという役割だと考えています。
2020/6/25、慢性腎臓病の進行におけるアロプリノールの効果について調べた研究「Effects of Allopurinol on the Progression of Chronic Kidney Disease: CKD-FIX Study」の結果をまとめました。