2020/6/6、ニューヨーク市におけるCOVID-19重症例の疫学、臨床経過、転帰について調べた研究「Epidemiology, Clinical Course, and Outcomes of Critically Ill Adults With COVID-19 in New York City: A Prospective Cohort Study」の結果をまとめました。アメリカ、ニューヨーク市では2020/4/28までに、COVID-19入院例が40000例以上報告されています。重症例の疫学、臨床経過、転帰について情報をまとめました。北マンハッタンのコロンビア大学医療センター関連のニューヨーク長老派教会病院にて前向き観察コホート研究を実施しました。2020/3/2から4/1まで、18歳以上、COVID-19検査確定例で、急性低酸素性呼吸不全を合併し重症(critically ill)と判断された例、臨床、バイオマーカー、治療データを収集しました。主要転帰は院内死亡率としました。副次転帰は侵襲的機械換気の頻度、期間、血管収縮薬使用、腎代替療法の頻度、入院から重症化までの時間としました。臨床リスク因子、バイオマーカー、院内死亡率をCox比例ハザード回帰にてモデル化しました。追跡は2020/4/28まで、少なくとも28日間観察しました。結果、2020/3/2から4/1まで、1150例のCOVID-19検査確定例、そのうち257例(22%)が重症でした。中央年齢62歳(四分位範囲51-72歳)、171例(67%)男性、212例(82%)は少なくとも1つ以上の慢性疾患あり、最も多いのもは高血圧162例(63%)、糖尿病92例(36%)でした。119例(46%)は肥満でした。2020/4/28までに、101例(39%)死亡、94例(37%)は入院中です。203例(79%)は侵襲的機械換気を受け、中央値は18日間(四分位範囲9-28)、257例中170例(66%)は血管収縮薬の投与を受け、79例(31%)は腎代替療法を受けました。院内重症化までの時間の中央値は3日(四分位範囲1-6)でした。多変量Coxモデルにて、年齢(aHR 1·31 [1·09-1·57] per 10-year increase)、慢性心疾患(aHR 1·76 [1·08-2·86])、慢性肺疾患(aHR 2·94 [1·48-5·84])、インターロイキン6高値(aHR 1·11 [95%CI 1·02-1·20] per decile increase)、Dダイマー高値(aHR 1·10 [1·01-1·19] per decile increase)は院内死亡と独立した関連因子でした。ニューヨーク市におけるCOVID-19入院重症例は侵襲的機械換気、肺外機能不全、院内死亡率の頻度の高さと関連していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32442528
COVID-19アウトブレイクを経験したニューヨークからの報告です。重症例の死亡率39%、気管挿管率79%、昇圧薬投与66%、緊急透析31%という凄まじい数字です。重症化率22%で、重症化の危険因子としては、年齢10歳高齢になるごとに1.31倍、慢性心疾患1.76倍、慢性肺疾患2.94倍と他の国からの報告と一貫しています。
2020/6/6、ニューヨーク市におけるCOVID-19重症例の疫学、臨床経過、転帰について調べた研究「Epidemiology, Clinical Course, and Outcomes of Critically Ill Adults With COVID-19 in New York City: A Prospective Cohort Study」の結果をまとめました。