2020/6/14、高血圧の発症年齢と心血管疾患、死亡率の関係を調べた研究「Association of Age of Onset of Hypertension With Cardiovascular Diseases and Mortality」の要旨をまとめました。高血圧の発症年齢と心血管疾患、死亡率の関係は十分にわかっていませんでした。高血圧の発症年齢と心血管疾患、全死亡の関係を明らかにするために、中国、唐山市、前向きコホート研究「Kailuan study」、2006年から2007年の一次調査時には高血圧なしであった71245例の参加者を対象に、前向き研究を実施しました。全ての参加者は2017年まで、2年ごとに追跡しました。追跡期間中、全体で20221例、新規の高血圧の発症を認めました。新規に高血圧を発症した例と、年齢、性別を一致、無作為に選出した19887例を対照群として設定しました。重み付けCox回帰モデルにて、心血管疾患、全死亡の発生率の年齢別平均ハザード比を算出しました。平均追跡期間6.5年において、心血管疾患1672例、死亡2008例が発生しました。多変量調整後、高血圧の発症年齢が高くなるほど、転帰のハザードは徐々に減衰しました。高血圧の発症年齢が45歳未満の群の平均ハザード比は心血管疾患2.26 (1.19 to 4.30)、全死亡2.59(1.32 to 5.07)、高血圧の発症年齢が45歳以上55歳未満の群では心血管疾患1.62(1.24 to 2.12)、全死亡2.12(1.55 to 2.90)、高血圧の発症年齢が55歳以上65歳未満の群では心血管疾患1.42(1.12 to 1.79)、全死亡1.30(1.03 to 1.62)、高血圧の発症年齢が65歳以上の群では心血管疾患1.33(1.04 to 1.69)、全死亡1.29(1.11 to 1.51)で、有意な傾向差(p for interaction = 0.38 for CVD and <0.01 for death)を認めました。高血圧は心血管疾患、全死亡の高いリスクと関連しており、その関係は発症年齢が若いほどより強い関係であることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32527401
同じ高血圧でも、若い頃に発症した場合と年を取ってから発症した場合で影響が違うという研究で、具体的には65歳以上の年齢で発症した場合の心血管疾患リスクのハザード比は1.33倍であるのに対し、45歳未満の発症の場合は2.26倍であったとの報告です。
2020/6/14、高血圧の発症年齢と心血管疾患、死亡率の関係を調べた研究「Association of Age of Onset of Hypertension With Cardiovascular Diseases and Mortality」の要旨をまとめました。