2020/8/29、長期持続性永続性心房細動に対してカテーテルアブレーションと胸腔鏡下外科的アブレーションを比較した研究「Catheter ablation vs. thoracoscopic surgical ablation in long-standing persistent atrial fibrillation: CASA-AF randomized controlled trial」の要旨をまとめました。

2020/8/29、長期持続性永続性心房細動に対してカテーテルアブレーションと胸腔鏡下外科的アブレーションを比較した研究「Catheter ablation vs. thoracoscopic surgical ablation in long-standing persistent atrial fibrillation: CASA-AF randomized controlled trial」の要旨をまとめました。長期持続性永続性心房細動(Long-standing persistent atrial fibrillation: LSPAF)に対するカテーテルアブレーションの転帰の改善は課題となっています。胸腔鏡下外科的アブレーション(Thoracoscopic surgical ablation)は心房細動に対して有効性が示されています。長期持続性永続性心房細動の初回介入治療として、外科的アブレーションがカテーテルアブレーションと比べて優れているかどうかを比較、多施設無作為化対照試験を実施しました。長期持続性永続性心房細動120例を対照に、外科的アブレーション、カテーテルアブレーションに無作為に割り振りました。全例、事前に計画した一連の領域を実施、埋込み型ループレコーダー挿入を実施しました。主要転帰は12ヶ月、抗不整脈薬なしで、心房細動、30s/m以上の心室頻拍がない期間としました。副次転帰は臨床的成功として心房細動、心房頻拍の75%以上の軽減、手技関連重大有害事象、症状の変化、生活の質スコア、費用対効果としました。12ヶ月後時点で、心房細動、心房頻拍は、外科的アブレーション群54例中14例(26%)、カテーテルアブレーション群60例中17例(28%)に記録、有意差(OR 1.128, 95% CI (0.46–2.83), P = 0.83)は認めませんでした。心房細動、心房頻拍の負荷の軽減は、外科的アブレーション群54例中36例(67%)、カテーテルアブレーション群60例中46例(77%)に認め、有意差(OR 1.13, 95% CI (0.67–4.08), P = 0.3)は認めませんでした。30日以内の手技関連重大有害事象は、外科的アブレーション群15%、カテーテルアブレーション群10%で、有意差(P = 0.46)を認めました。外科的アブレーション群で1例死亡が報告されました。心房細動の症状の改善はカテーテルアブレーション群の追跡で顕著でした。12ヶ月の追跡で、外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて、高価で、質調整生存年(quality-adjusted life-years: QALYs)低値で、有意差(0.78 vs. 0.85, P = 0.02)を認めました。長期持続性永続性心房細動の治療において、胸腔鏡下外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて優れていませんでした。カテーテルアブレーションは外科的アブレーションと比べて、追跡期間中、症状の顕著な改善、質調整生存年の有意な改善を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32860414
長期持続性の心房細動の治療において、外科的アブレーションとカテーテルアブレーションどちらが優れているか比較した研究です。外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて、有効性に有意差はなく、費用対効果、生活の質の改善に優れていなかったという報告です。現時点ではカテーテルアブレーションが第一選択という理解で良いでしょう。
お茶の水循環器内科では、心房細動のカテーテルアブレーション治療が必要と判断した場合、主に六本木の「心臓血管研究所付属病院」、千歳烏山の「東京ハートリズムクリニック」にお願いすることが多かったのです。このたび、2020年3月、幕張に「幕張不整脈クリニック」がオープンしたことを最近知りました。
・心臓血管研究所付属病院→https://www.cvi.or.jp/index.html
・東京ハートリズムクリニック→https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic
・幕張不整脈クリニック→https://makuhari-afcl.com
今まで千葉方面でカテーテルアブレーションに特化したクリニックはなかったので、千葉方面の方は良いかも知れません。いずれも素晴らしい先生方です。他にも医療機関のご希望等あれば遠慮なくご相談ください。詳しくは院長の五十嵐までご相談ください。


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