2020/6/5、SGLT2阻害薬と不整脈の新規発症との関係を調べた研究「The association between SGLT2 inhibitors and new-onset arrhythmias: a nationwide population-based longitudinal cohort study」の要旨をまとめました。臨床試験ではSGLT2阻害薬(sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors)の心血管保護作用、心不全入院減少が報告されています。一方で、SGLT2阻害薬と不整脈リスクの関係は十分にわかっていませんでした。SGLT2阻害薬と、不整脈の新規発症(new-onset arrhythmias: NOA)、全死亡に与える影響を評価するために、台湾、全国医療保険研究データベースを用いて、集団コホート研究を実施しました。20歳以上、SGLT2阻害薬使用者、年齢、性別、糖尿病の罹患歴、薬剤情報、傾向スコアを一致の無作為対照群としてSGLT2阻害薬非使用者を比較しました。評価項目は全死亡、不整脈の新規発症としました。結果、2型糖尿病と新規に診断された全399810例を登録、傾向マッチ後、SGLT2阻害薬群79150例、非SGLT2阻害薬群79150例を解析しました。SGLT2阻害薬群は、全死亡(adjusted hazard ratio (aHR) 0.547; 95% confidence interval (CI) 0.482-0.621; P = 0.0001)、不整脈の新規発症(aHR 0.830; 95% CI 0.751-0.916; P = 0.0002)のリスク低値と関連を認めました。結論、実臨床(real-world)の診療において、S型糖尿病でSGLT2阻害薬を処方されていることは、SGLT2阻害薬を使用していない群と比べて、全死亡リスク、不整脈の新規発症リスク低値と関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32503541
台湾の2型糖尿病39万人超のコホート研究です。2型糖尿病でSGLT2阻害薬を使用することは、全死亡リスク45.3%減、不整脈の新規発症リスク17.0%減を認めたとの報告です。不整脈の新規発症の内訳を精査する必要がありますが、SGLT2阻害薬による体液減少効果による心室負荷軽減、心房負荷軽減と、作用機序的には不整脈に対して保護的に働く作用は可能性としてはあります。心房細動も減らすとなったらSGLT2阻害薬は本当にいくつもの有益な作用を持っているということになります。
2020/6/5、SGLT2阻害薬と不整脈の新規発症との関係を調べた研究「The association between SGLT2 inhibitors and new-onset arrhythmias: a nationwide population-based longitudinal cohort study」の要旨をまとめました。