2020/8/6、敗血症性ショックに対するノルエピネフリン開始のタイミングについて調べた系統レビュー、メタ解析「Timing of norepinephrine initiation in patients with septic shock: a systematic review and meta-analysis」の要旨をまとめました。敗血症性ショックに対するノルエピネフリン開始のタイミングと臨床転帰へ与える影響は十分にわかっていません。敗血症性ショックに対して、ノルエピネフリンサポートの早期開始と遅延開始で臨床転帰に与える影響を評価するために系統レビュー、メタ解析を実施しました。PubMed、Cochrane、Embaseのデータベースから2020年までの無作為化臨床試験を検索しました。18歳以上の敗血症性ショックの研究を対象にしました。主要評価項目はノルエピネフリン早期開始群、遅延開始群、短期死亡率、副次評価項目として、集中治療室滞在時間、目標平均動脈圧65mmHg以上の達成時間、6時間以内の経静脈投与量としました。オッズ比、平均差、95%信頼区間を評価しました。結果、5本の研究、929例を解析しました。メタ解析の結果、主要評価項目、短期死亡率は、早期開始群は遅延開始群と比べて低値(odds ratio [OR] = 0.45; 95% CI, 0.34 to 0.61; P < 0.00001; χ2 = 3.74; I2 = 0%)でした。副次評価項目、目標平均動脈圧達成時間は、早期開始群は遅延開始群と比べて短縮(mean difference = – 1.39; 95% CI, – 1.81 to – 0.96; P < 0.00001; χ2 = 1.03; I2 = 0%)を認めました。6時間の経静脈投与量は、早期開始群は遅延開始群と比べて少量(mean difference = – 0.50; 95% CI, – 0.68 to – 0.32; P < 0.00001; χ2 = 33.76; I2 = 94%)でした。集中治療室滞在時間は二群間で統計学的に有意差(mean difference = – 0.11; 95% CI, – 1.27 to 1.05; P = 0.86; χ2 = 0.85; I2 = 0%)を認めませんでした。敗血症性ショックに対してノルエピネフリンの早期開始は、短期死亡率の低下、目標平均動脈圧達成時間の短縮、6時間の経静脈投与量の減少と関連を認めました。集中治療室滞在時間は早期開始群と遅延開始群で有意差を認めませんでした。確定のためには大規模な無作為化臨床試験が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32762765
敗血症性ショックに対してノルエピネフリン(ノルアドレナリン)をいつ開始するのが良いか調べた研究です。躊躇わずに早期開始が良いという結果です。
2020/8/6、敗血症性ショックに対するノルエピネフリン開始のタイミングについて調べた系統レビュー、メタ解析「Timing of norepinephrine initiation in patients with septic shock: a systematic review and meta-analysis」の要旨をまとめました。