2020/10/15、肥満手術後の平均余命について調べたスウェーデンの研究「Life Expectancy after Bariatric Surgery in the Swedish Obese Subjects Study」の要旨をまとめました。肥満は平均余命を短縮させます。肥満手術(Bariatric surgery)は長期の死亡関連リスクを減少させることが知られていますが、平均余命に与える影響は十分にわかっていませんでした。スウェーデン、「SOS」(Swedish Obese Subjects)研究、一般集団における無作為の対照群から、肥満手術群(手術群)と、通常の肥満ケア群(対照群)と、Gompertz比例ハザード回帰モデルにて、死亡率、平均余命を前向きに比較しました。結果、手術群2007例、対照群2040例、参照コホート1135例、2018年まで追跡しました。死亡率の追跡期間中央値は、手術群24年間(四分位範囲22 to 27)、対照群22年間(四分位範囲21 to 27)、研究参加の99.9%の死亡率のデータが入手可能でした。SOS参照コホートでは、追跡期間中央値20年(四分位範囲19 to 21)、死亡率のデータは100%入手可能でした。手術群467例(22.8%)、対照群539例(26.4%)死亡、有意差(hazard ratio, 0.77; 95% confidence interval [CI], 0.68 to 0.87; P<0.001)を認めました。対応ハザード比は、心血管疾患死亡0.70(95% CI, 0.57 to 0.85)、がん死亡0.77(95% CI, 0.61 to 0.96)でした。調整後の平均余命中央値は手術群は対照群と比べて3.0年延長(95% CI, 1.8 to 4.2)を認めましたが、一般集団と比べると5.5年短縮していました。手術後90日死亡率は手術群0.2%、再手術群2.9%でした。肥満において、肥満手術は通常の肥満ケア群と比べて、平均余命の延長と関連していました。どちらの群も一般集団と比べると死亡率は高値でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2002449
肥満手術の影響を20年以上追跡した結果、肥満手術で平均余命が2.0年間ほど延長したというスウェーデンからの報告です。肥満手術というと日本ではあまり一般的ではありませんが、肥満手術をしない群と比べて肥満手術を受けた群のほうが長生きするとの結果です。肥満手術を行っている医療機関は実は首都圏でいくつかあります。詳しくは主治医までご相談ください。
2020/10/15、肥満手術後の平均余命について調べたスウェーデンの研究「Life Expectancy after Bariatric Surgery in the Swedish Obese Subjects Study」の要旨をまとめました。