2020/10/1、レニンアンギオテンシン系阻害薬とインフルエンザ、肺炎の有害転帰との関係を調べた研究「Renin-Angiotensin System Blockers and Adverse Outcomes of Influenza and Pneumonia: A Danish Cohort Study」の要旨をまとめました。

2020/10/1、レニンアンギオテンシン系阻害薬とインフルエンザ、肺炎の有害転帰との関係を調べた研究「Renin-Angiotensin System Blockers and Adverse Outcomes of Influenza and Pneumonia: A Danish Cohort Study」の要旨をまとめました。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(Angiotensin-converting enzyme inhibitors: ACE-Is)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(Angiotensin receptor blockers: ARBs)はCOVID-19(coronavirus disease 2019)の予後悪化と関連しているかも知れないと言われましたが、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬の使用と心臓、代謝への影響の交絡因子の可能性もあります。アンジオテンシン変換酵素、アンジオテンシン受容体拮抗薬と気道感染症の転帰への影響を調べるために、2005年から2018年まで、デンマークにて、集団医療データベースを用いて、インフルエンザまたは肺炎で入院した全成人のデータを対象にコホート研究を実施しました。30日死亡率、集中治療室への入院について、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬の使用者、非使用者、カルシウムチャネル拮抗薬の使用者で比較しました。交絡因子把握の傾向スコア、コンピュータによる傾向スコア比重調整リスク、リスク差、リスク率を算出しました。結果、インフルエンザまたは肺炎の入院568019例のうち、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬の使用は100278例、カルシウムチャンネル拮抗薬の使用37961例でした。傾向スコア調整解析にて、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬の使用は、カルシウムチャンネル拮抗薬の使用と比べて30日死亡率リスク4%減少(13.9% versus 14.5%; RD, -0.6%; 95% CI, -1.0 to -0.1; RR, 0.96; 95% CI, 0.93-0.99)、集中治療室への入院リスク17%減少(8.0% versus 9.6%; RD, -1.6%; 95% CI, -2.0 to -1.2; RR, 0.83; 95% CI, 0.80-0.87)低下と関連を認めました。非使用者と比べて、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬の使用者は死亡リスク15%減少(RD, -2.4%; 95% CI, -2.8 to -2.0; RR, 0.85; 95% CI, 0.83-0.87)を認めましたが、集中治療室への入院リスクは同様(RD, 0.4%; 95% CI, 0.0-0.7; RR, 1.04; 95% CI, 1.00-1.09)でした。インフルエンザ、肺炎において、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬の使用は、交絡因子調整後、集中治療室への入院を増加させることなく、かつ死亡率を低下させました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32998607
56万例の解析の結果、レニンアンギオテンシン系阻害薬でインフルエンザ、肺炎の死亡率が15%低下したというデンマークからの報告です。作用機序は不明とのことです。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1014532914


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