2020/10/26、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課・医薬安全対策課「疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について」の内容をまとめました。
https://www.naika.or.jp/jsim_wp/wp-content/uploads/2020/11/20201102.pdf
「適切な受診機会を逃す可能性を一つのリスクと捉える」等、肯定的な内容の記載もありますが、性能、機能について情報提供、確定診断を目的としたものではないこと、受診遅延、健康被害等の情報収集を行うこと、わからないことがあれば医薬品医療機器総合機構、厚生労働省と十分な相談をしてください等といった注意喚起がなされています。要は、家庭用医療機器、受診勧奨等、色々やるのは別にいいけれど、ちゃんと医学的に正しいことをやってください、健康被害を増やさないように注意してください、ということです。下記に通知内容を引用しました。
薬生機審発1026第1号
薬生安発1026第1号
令和2年10月26日
各都道府県衛生主管部(局)長殿
厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長
疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について
近年、様々な技術の進展を受け、疾病の兆候を検出し受診を促すことを目的とした医療機器プログラムをはじめとした家庭用医療機器の開発・実用化が進んでいるところです。
今般、疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって現時点において留意すべき事項を下記のとおり取りまとめましたので、貴管下関係団体、関係事業者等に周知方お願いします。
記
1.疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項
(1)健常者を含めた当該医療機器の使用者が、適切な受診機会を逃す可能性を一つのリスクと捉え、そのリスク低減策が必要であること。特に、対象とする疾患の特性を踏まえ、家庭用医療機器としてのリスク・ベネフィット等について検討が必要であること。
(2)当該医療機器の使用者が医療機関を受診した場合に、医療機関側で適切に対応するために、当該医療機器の性能、機能等の情報について、使用者だけでなく医療機関側へも提供が必要になること。
(3)疾病の確定診断は、医師が行うものであること。
2.具体的な対応策
具体的な対応策については、個々の家庭用医療機器の特性に応じて個別に検討が必要であるが、少なくとも以下の点について対応を十分に検討すること。
(1)使用者への情報提供
製造販売業者は、家庭用医療機器の特性を踏まえ、以下の事項について添付文書等により注意喚起すること。
①当該医療機器は確定診断を目的としたものではないこと。
②当該医療機器により疾病の兆候が検出された場合は、専門の医師を受診すること。
③当該医療機器の通知結果を自己解釈し、医師の診断を受けずに服用中の薬剤の変更や服用の中止等を行わないこと。
④当該医療機器の通知結果にかかわらず、症状があれば医療機関を受診すること。
(2)医療関係者への情報提供
製造販売業者は、関係学会・医会と調整の上、家庭用医療機器について、以下に関する情報提供を行うこと。
①当該医療機器の性能及び機能の限界
②使用者に対する情報提供の内容
③その他必要事項
(3)安全性情報の収集及び追加の安全対策の実施
製造販売業者は、当該医療機器の製造販売後に、受診遅延の発生等といった(1)に挙げられた内容の不遵守に伴う健康被害等の情報を収集するとともに、必要に応じて使用者及び医療関係者に対する追加の情報提供等の安全対策を実施すること。
(4)その他の留意点
製造販売業者は、個々の家庭用医療機器の仕様等に応じて、情報セキュリティについて必要な対策を講ずること。
3.その他
(1)リスク低減のための具体的な対応策を検討するに当たっては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構と十分に相談すること。
(2)具体的な対応策については、個々の家庭用医療機器の特性に応じて検討する必要があり、その妥当性に関して、薬事食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会において意見聴取を行う場合があること。
(3)具体的な対応策の実効性を担保するために、当該医療機器の承認に当たって、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づく承認条件を付す場合があること。
(4)本通知の内容については、今後事例の蓄積等を踏まえ、適宜見直しを行うものであること。