2020/10/30、プレプロオピオメラノコルチンまたはレプチン受容体欠損による重症肥満症に対するメラノコルチン4受容体刺激薬「setmelanotide」の有効性、安全性を評価した第III相試験「Efficacy and safety of setmelanotide, an MC4R agonist, in individuals with severe obesity due to LEPR or POMC deficiency: single-arm, open-label, multicentre, phase 3 trials」の要旨をまとめました。メラノコルチン4受容体(melanocortin 4 receptor: MC4R)は、レプチン・メラノコルチン経路(leptin–melanocortin pathway)の構成要素で、体重制御の役割を担っています。重症早発性肥満はメラノコルチン4受容体経路に関連する遺伝子の二対立遺伝子変異が原因の可能性があります。プレプロオピオメラノコルチン(pro-opiomelanocortin: POMC)欠損型肥満、レプチン受容体(leptin receptor: LEPR)欠損型肥満に由来する重症肥満に対して、メラノコルチン4受容体刺激薬「setmelanotide」を評価するために、カナダ、アメリカ、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、イギリスにて、シングルアーム、オープンラベル、多施設第III相試験を実施しました。6歳以上、プレプロオピオメラノコルチンまたはレプチン受容体欠損型肥満を対象に、12週間のsetmelanotideをオープンラベルで投与しました。参加者は5kg以上の体重減少、8週間のプラセボ対照ウイズドロー期間、4週間、setmelanotide群、プラセボ群、追加32週間追跡しました。主要評価項目は、試験薬物の対象となった例を対象に、1年後、ベースラインから比較した10%以上の体重減少の割合としました。副次評価項目は治療1年後の11項目の「Likert-type scale」空腹スコアの平均パーセンテージ変化、12歳以上の参加者で5kg以上の体重減少を認めた例においては12週間のオープンラベルのフル解析を実施しました。2017年から2018年、プレプロオピオメラノコルチン欠損症10例、レプチン受容体欠損症11例試験に参加、フル解析を実施しました。1年後、プレプロオピオメラノコルチン欠損症8例(80%)、レプチン受容体欠損症5例(45%)、10%以上の体重減少を認めました。空腹スコアの平均パーセンテージ変化は、プレプロオピオメラノコルチン欠損症−27.1%(n=7; 90% CI −40·6 to −15·0; p=0·0005)、レプチン受容体欠損症−43·7%(n=7; −54·8 to −29·1; p<0·0001)でした。プレプロオピオメラノコルチン欠損症において、最多の有害事象は注射部位反応、過剰色素沈着(hyperpigmentation)で、プレプロオピオメラノコルチン欠損症10例全例に認めました。吐気5例、嘔吐3例に認めました。レプチン受容体欠損症において、治療関連有害事象は注射部位反応12例全例、皮膚障害5例、吐気4例でした。両試験で重大な治療関連有害事象は認めませんでした。本結果、プレプロオピオメラノコルチン欠損症、レプチン受容体欠損症による肥満、過食症(hyperphagia)の治療としてsetmelanotideを支持するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(20)30364-8/fulltext
レプチン・メラノコルチン経路(leptin–melanocortin pathway)というのが食欲、満腹の制御をしており、過食症、肥満症、プレプロオピオメラノコルチン欠損症、レプチン受容体欠損症に対するメラノコルチン4受容体刺激薬「setmelanotide」の第III相試験です。
2020/10/30、プレプロオピオメラノコルチンまたはレプチン受容体欠損による重症肥満症に対するメラノコルチン4受容体刺激薬「setmelanotide」の有効性、安全性を評価した第III相試験「Efficacy and safety of setmelanotide, an MC4R agonist, in individuals with severe obesity due to LEPR or POMC deficiency: single-arm, open-label, multicentre, phase 3 trials」の要旨をまとめました。