2020/10/12、再血行再建を必要とする左主幹部冠動脈の再狭窄の長期予後の影響を調べた研究「Long-Term Prognostic Impact of Restenosis of the Unprotected Left Main Coronary Artery Requiring Repeat Revascularization」の要旨をまとめました。

2020/10/12、再血行再建を必要とする左主幹部冠動脈の再狭窄の長期予後の影響を調べた研究「Long-Term Prognostic Impact of Restenosis of the Unprotected Left Main Coronary Artery Requiring Repeat Revascularization」の要旨をまとめました。ステント留置不良の非保護左主幹部冠動脈(unprotected left main coronary artery: ULMCA)の標的病変血行再建の予後への影響を評価しました。非保護左主幹部冠動脈の治療として薬剤溶出性ステントは安全で効果的ではありますが、血行再建を繰り返す率が高いことが観察されています。非保護左主幹部冠動脈に対してステント留置後、「ISAR-LEFT-MAIN」(Drug-Eluting-Stents for Unprotected Left Main Stem Disease)試験、「ISAR-LEFT-MAIN-2」(Drug-Eluting Stents to Treat Unprotected Coronary Left Main Disease)試験の症例レベル蓄積解析を実施しました。追跡期間中の血管造影の解析も含みました。標的病変血行再建あり群となし群を比較しました。標的病変血行再建後の長期臨床追跡を実施、死亡率への影響を評価しました。死亡率はカプランマイヤー法を使用、計算しました。死亡の予測因子を多変量解析にて評価しました。結果、1001例組み込み、標的病変血行再建166例でした。5年死亡率は標的病変血行再建あり群30.2%、標的病変血行再建なし群17.3%、有意差(p < 0.001)を認めました。多変量解析の結果、推算糸球体濾過量(-30 ml/min; hazard ratio [HR]: 2.25; 95% confidence interval [CI]: 1.54 to 3.27; p < 0.001)、慢性閉塞性肺疾患(HR: 4.95; 95% CI: 1.33 to 18.42; p = 0.02)、BMI(+5 kg/m2; HR: 1.61; 95% CI: 1.12 to 2.32; p = 0.01)を、左主幹部ステント不良による標的病変血行再建後の死亡の独立した予測因子として認めました。血行再建の再発の種類、ステント種類は非保護左主幹部冠動脈の標的病変血行再建後の死亡率に影響は与えていませんでした。左主幹部ステント不良に対する標的病変血行再建後の死亡率は高く、標的病変血行再建後の死亡率に与える影響は症例関連因子の影響が大きいことがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33032714
左主幹部冠動脈病変の血行再建後、腎機能障害、慢性閉塞性肺疾患、肥満があると再血行再建、死亡リスクが高いとの報告です。


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