2019/11/19、駆出率の低下した心不全に対するダパグリフロジンの有効性、安全性を評価した研究「Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: DAPA-HF Trial」の要旨をまとめました。2型糖尿病、SGLT2阻害薬(inhibitors of sodium–glucose cotransporter 2)はおそらく血糖依存性のメカニズムを通じて心不全入院を減少します。駆出率の低下した心不全、2型糖尿病の有無に関わらず、SGLT2阻害薬の有効性に関するさらなるデータが必要です。NYHAクラスII、III、IVの駆出率40%以下の心不全4744例を対象に、推奨治療に加えて、ダパグリフロジン1日1回10mg、プラセボ、無作為化、第III相プラセボ対照試験を実施しました。主要評価項目は心不全増悪(心不全入院、心不全に対して頚静脈治療が必要な救急受診)、心血管死の複合としました。結果、中央値18.2ヶ月、主要評価項目はダパグリフロジン群2373例中386例(16.3%)、プラセボ群2371例中502例(21.2%)、有意差(hazard ratio, 0.74; 95% confidence interval [CI], 0.65 to 0.85; P<0.001)を認めました。心不全増悪はダパグリフロジン群237例(10.0%)、プラセボ群326例(13.7%)(hazard ratio, 0.70; 95% CI, 0.59 to 0.83)でした。心血管死はダパグリフロジン群227例(9.6%)、プラセボ群274例(11.5%)(hazard ratio, 0.82; 95% CI, 0.69 to 0.98)、全死亡はダパグリフロジン群276例(11.6%)、プラセボ群329例(13.9%)(hazard ratio, 0.83; 95% CI, 0.71 to 0.97)でした。所見は糖尿病あり例と糖尿病なし例で同程度でした。脱水関連有害事象、腎機能障害、低血糖の頻度は両群間でサを認めせんでした。駆出率の低下した心不全において、心不全増悪、心血管死のリスクは、糖尿病の有無に関わらず、ダパグリフロジンはプラセボと比べて減少しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1911303
SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの駆出率の低下した心不全への有効性を証明した「DAPA-HF」試験の論文です。2020/11/30、日本における適応追加承認の根拠となった論文です。
「2020/11/30、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(ダパグリフロジン)の慢性心不全の適応追加承認が発表されました。」
https://ochanomizunaika.com/21572
2019/11/19、駆出率の低下した心不全に対するダパグリフロジンの有効性、安全性を評価した研究「Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: DAPA-HF Trial」の要旨をまとめました。