2020/11/13-12/27、オンラインで開催中の「第75回日本大腸肛門病学会学術集会」にて、腹腔鏡手術時の抗血小板薬の取り扱いについて発表がありました。

2020/11/13-12/27、オンラインで開催中の「第75回日本大腸肛門病学会学術集会」にて、腹腔鏡手術時の抗血小板薬の取り扱いについて発表がありました。
https://site.convention.co.jp/jscp75
腹腔鏡手術時の抗血小板薬の取り扱いについて、抗血小板薬を中止、休薬すると血栓症リスク増加、継続すると出血合併症リスク増加の可能性があり、明確な基準、安全性、有効性についてエビデンスは不足していました。2011年から2019年、抗血小板薬内服、腹腔鏡下大腸切除術204例、抗血小板薬を術前に中止した休薬群123例、継続群81例、手術成績として手術時間中央値(休薬群188分 vs 継続群189分)、術中出血量中央値(10mL vs 10mL)、術中輸血率(3.2% vs 2.5%)、術後在院日数中央値(同7日 vs 8日)、Clavien-Dindo分類グレード2以上の合併症について、両群間で有意差は認めませんでした。一方で、脳梗塞の発症は継続群で0例だったのに対し、休薬群で2例(1.6%)発生を認めました。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1211533967
この結果から腹腔鏡下大腸切除術においては抗血小板薬続行下にて比較的安全に施行可能である可能性が示されました。むしろ抗血小板薬の中止によって脳梗塞が発生していたことから中止の判断は慎重に行うべきとまとめています。リスクとベネフィットを総合的に判断する必要があります。通常の内視鏡検査、観血的処置を伴わない観察のみの内視鏡検査等ではやはり抗血小板薬は続行が望ましいと言えるでしょう。詳しくは主治医までご相談ください。


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