2021/1/9、駆出率の保たれた心不全におけるエンパグリフロジンの健康関連生活の質転帰との関係を調べた研究「Empagliflozin and health-related quality of life outcomes in patients with heart failure with reduced ejection fraction: the EMPEROR-Reduced trial」の要旨をまとめました。

2021/1/9、駆出率の保たれた心不全におけるエンパグリフロジンの健康関連生活の質転帰との関係を調べた研究「Empagliflozin and health-related quality of life outcomes in patients with heart failure with reduced ejection fraction: the EMPEROR-Reduced trial」の要旨をまとめました。「EMPEROR-Reduced」試験の二次解析として、駆出率の低下した心不全において、エンパグリフロジンの有益性の登録時の健康状態によるばらつき、エンパグリフロジンの自己報告転帰への影響を評価しました。健康状態は「KCCQ-CSS」(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaires-clinical summary score)にて評価しました。登録時の「KCCQ-CSS」がエンパグリフロジンの主要転帰の効果に与える影響を、Cox比例ハザードモデルにて評価しました。反応解析はエンパグリフロジン投与関連KCCQスコアの低下または改善オッズにて評価しました。エンパグリフロジンは心血管死亡、心不全入院の主要転帰を、登録時のKCCQ-CSSスコアに関わらずに減少(hazard ratio (HR) 0.83 (0.68–1.02), HR 0.74 (0.58–0.94), and HR 0.61 (0.46–0.82) for <62.5, 62.6–85.4, and ≥85.4 score tertiles, respectively; P-trend = 0.10)しました。エンパグリフロジンは、3、8、12ヶ月後のKCCQ-CSS、総症状スコア、全要約スコアを改善しました。3ヶ月後のKCCQ-CSSは、5点(odds ratio (OR) 1.20 (1.05–1.37))、10点(OR 1.26 (1.10–1.44))、15点(OR 1.29 (1.12–1.48))の改善、5点以上の低下(OR 0.75 (0.64–0.87))はほとんど認めませんでした。有益性は8、12ヶ月後も一貫しており、他のKCQQ領域においても同様でした。エンパグリフロジンは登録時の健康状態に関わらず、心血管死亡、心不全入院リスを改善しました。エンパグリフロジンは様々な領域で健康状態を改善、有益性は長期追跡においても維持していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehaa1007/6072066
「EMPEROR-Reduced」試験の二次解析、エンパグリフロジン(ジャディアンス)の生活の質への影響のサブ解析。心血管疾患、心不全入院を減らすだけではなく、生活の質も向上したとの報告です。血糖コントロール改善、血圧低下、体重減少、腎機能保護、心機能保護、心不全入院減少、死亡率低下、生活の質改善と一石二鳥を遥かに超えたメリットが次々と報告され、ぜひとも積極的に使いたい薬の一つです。デメリットは頻尿傾向、尿路感染症、薬価、添付文書上の適応は2021年2月現在「2型糖尿病」といったあたりです。詳しくは主治医とご相談ください。

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