2021/1/5、糖尿病、症候性下肢動脈疾患において、虚血性事象予防のためクロピドグレル治療へのシロスタゾール追加の有効性と安全性を調べた研究「Efficacy and Safety of Adjunctive Cilostazol to Clopidogrel-Treated Diabetic Patients With Symptomatic Lower Extremity Artery Disease in the Prevention of Ischemic Vascular Events」の要旨をまとめました。

2021/1/5、糖尿病、症候性下肢動脈疾患において、虚血性事象予防のためクロピドグレル治療へのシロスタゾール追加の有効性と安全性を調べた研究「Efficacy and Safety of Adjunctive Cilostazol to Clopidogrel-Treated Diabetic Patients With Symptomatic Lower Extremity Artery Disease in the Prevention of Ischemic Vascular Events」の要旨をまとめました。2型糖尿病は下肢動脈疾患のリスク因子です。シロスタゾールは抗血小板、抗炎症、血管拡張作用を持ち、間欠性跛行の症状を改善します。2型糖尿病、症候性下肢動脈疾患において、虚血性血管事象、間欠性跛行の症状改善のため、クロピドグレル治療にシロスタゾールを上乗せすることの有効性、安全性を調べました。2型糖尿病、間欠性跛行、6ヶ月以上のクロピドグレル1日75mgの投与を受けている例を対象に、シロスタゾール投与を追加せずにクロピドグレル単剤療法継続群391例、シロスタゾール100mg1日2回追加投与群403例に無作為化、前向き2群、多施設オープンラベル第IV相試験を実施しました。中央値27ヶ月追跡しました。有効性の主要評価項目は急性虚血性脳卒中、一過性脳虚血発作、急性心筋梗塞、血管原因死亡の複合、シロスタゾール追加投与群はクロピドグレル単剤療法群と比べて、有意に減少(sex-adjusted hazard ratio [HR], 0.468; 95% CI, 0.252-0.870; P=0.016)を認めました。シロスタゾール追加はさらに、脳卒中、一過性脳虚血発作事象の有意な減少(sex-adjusted HR, 0.38; 95% CI, 0.15-0.98; P=0.046) and improved the ankle-brachial index and pain-free walking distance values (P=0.001 for both comparisons)を認めました。出血学術研究コンソーシアム基準の出血事象は2群間で有意差なし(sex-adjusted HR, 1.080; 95% CI, 0.579-2.015; P=0.809)でした。2型糖尿病、症候性下肢動脈疾患に対して、クロピドグレル治療にシロスタゾールの追加は、クロピドグレル単剤療法と比べて、出血リスクの増加することなく、虚血性事象の減少、間欠性跛行症状の改善する可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33327737
クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)、いずれも抗血小板薬に分類されますが、どちらかというとプラビックスが末梢動脈疾患の将来の心血管事象を減らすのに対し、プレタールは抗血小板作用以外の多面的作用として現在の下肢虚血関連症状を緩和するという使い分けの印象でしたが、両方組み合わせることで症状も改善し、心血管疾患も減少したという報告です。末梢動脈疾患版の抗血小板薬2剤併用療法といったところでしょうか。出血リスクは増加しなかったとのことで、プラビックスへのプレタール上乗せは選択肢として検討して良さそうです。

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