2021/2/8、高齢者、糖尿病予備群の糖尿病発症リスクについて調べた研究「Risk of Progression to Diabetes Among Older Adults With Prediabetes」の要旨をまとめました。糖尿病予備群という言葉は糖尿病高リスク群を特定するために使用されます。しかしながら、高齢者の糖尿病予備群の自然歴は十分にわかっていませんでした。住民ベース、高齢者の糖尿病予備群の定義、糖尿病予備群と糖尿病のリスクの特徴について比較するために、2011年から2013年、「Atherosclerosis Risk in Communities Study」、糖尿病の既往のない高齢者3412例を対象に、半年に1回、2017年まで追跡、前向きコホート研究を実施しました。糖尿病予備群はHbA1c値5.7%から6.4%、空腹時血糖値100から125mg/dl、片方または両方と定義しました。主要評価項目は糖尿病の発症(主治医の診断、血糖降下薬の投与、HbA1c 6.5%以上、空腹時血糖値126mg/dl以上)としました。結果、糖尿病の既往のない3412例、平均年齢75.6歳、女性2014例(60%)、黒人572例(17%)、2011年から2013年、5回外来受診しました。3412例のうち、2497例は追跡外来または死亡しました。6.5年間の追跡間中、156例糖尿病の発症、118例診断、434例死亡しました。1490例(44%)の参加者はHbA1c値5.7%から6.4%、血糖異常1996例(59%)、HbA1c値または空腹時血糖値の基準を満たす例2482例(73%)、HbA1c値、空腹時血糖値、両方の基準を満たす例1004例(29%)でした。登録時のHbA1c値5.7%から6.4%のうち、97例(9%)が糖尿病に進行、148例(13%)はHbA1c 5.7%未満の血糖正常、207例は死亡しました。登録時の空腹時血糖値異常のうち、112例(8%)が糖尿病に進行、647例(44%)は空腹時血糖値100mg/dl未満の血糖正常、236例(16%)は死亡しました。登録時のHbA1c値5.7%未満のうち、239例(17%)はHbA1c値5.7%から6.4%へ進行、41例(3%)は糖尿病を発症しました。糖尿病の空腹時血糖値100mg/dl未満のうち、80例(8%)は空腹時血糖値100から125mg/dl、26例(3%)は糖尿病を発症しました。高齢者の住民ベースコホート研究の結果、糖尿病予備群の有病率は高かったですが、しかしながら、研究期間においては、血糖正常または死亡は、糖尿病へ進行よりも多く観察されました。この所見から高齢者において糖尿病予備群は必ずしも糖尿病への進行するものではない可能性を示唆しています。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2775594
糖尿病予備群から糖尿病への進行は多いですが、平均年齢75歳の高齢者においては必ずしもそうでもないという報告です。80代、90代になると今度は栄養不足にも気をつけなければなりません。
2021/2/8、高齢者、糖尿病予備群の糖尿病発症リスクについて調べた研究「Risk of Progression to Diabetes Among Older Adults With Prediabetes」の要旨をまとめました。