【胃がんの原因】ピロリ菌の一次除菌(成功確率92.6%)に失敗した結果…→https://rocketnews24.com/2018/10/22/1128485
ロケットニュースのピロリ菌除菌に関する記事に執筆協力しました。今回のテーマはピロリ菌とピロリ菌の除菌療法です。ピロリ菌は胃炎や胃癌の原因菌です。昔は胃癌の原因がよくわかっていなかったので、胃がん検診等で早期発見するしかなかったのですが、今は日本人の胃癌の90%以上がピロリ菌感染が原因であることがわかっています。ピロリ菌は除菌療法によって除菌が可能です。具体的には、まずはピロリ菌が感染しているかどうかを調べる検査、感染診断を行います。感染診断には、内視鏡検査、呼気検査、採血検査、便検査、尿検査など様々な手段があります。後述する除菌判定は呼気検査でなくてはならないのですが、感染診断は呼気検査でなくても何でも良いです。ピロリ菌がいるとわかったら原則そのまま除菌療法へと進みます。除菌療法にはいくつかの除菌セットがあり、7日間、飲み薬による治療です。処方箋の指示通り内服します。2015年に発売されたタケキャブという薬の登場により除菌成功率は向上し、日本ヘリコバクター学会「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版」によれば、除菌成功率は、タケキャブ一次除菌92.6%、タケキャブ二次除菌98.0%と非常に好成績で除菌が可能です。和才さんは運の悪いことに一次除菌でうまく除菌出来ず、現在二次除菌を行っているところなのですが、2015年以降除菌成功率は非常に高いので、2015年よりも前にピロリ菌除菌がうまく行かなかった方もぜひもう一度除菌を行うことをお勧めします。ピロリ菌の除菌療法後、ちゃんと除菌出来たかどうかをチェックする検査、除菌判定に関してはまた追って詳しく説明します。今回伝えたかったことは、ピロリ菌の検査も治療も、簡単に出来るということです。当院ではピロリ菌の検査は必要に応じて内視鏡検査または採血検査にて行っています。保険診療のルール上、内視鏡検査をしていることが保険適応の条件となっており、内視鏡検査をしていないと保険適応とならないことにご注意ください。ピロリ菌について詳しくは下記ページをご覧ください。
ピロリ菌→https://ochanai.com/helicobacterpylori
ちなみに、癌の中には原因がわからないものも多いのですが、ピロリ菌感染による胃癌、肝炎ウイルス感染による肝臓癌、ヒトパピローマウイルス感染による子宮頸癌、喫煙による肺癌など、癌の中には原因が特定出来ているものも少なくありません。原因が特定出来ていない癌は早期発見するしか方法がないのですが、原因が特定出来ている病気は一次予防が第一です。また、癌と違い、多くの心筋梗塞や脳卒中は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等、危険因子をコントロールすることで一次予防が可能です。お茶の水循環器内科は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」を目指して、世の中から救えるはずの病気を少しでも減らしていきたいという想いで、日々診療をしています。また何かまたロケットニュースの記事が出ましたらお知らせします。
【具体的な診療範囲】