「循環器内科.com」に「逆流性食道炎」についてまとめました。
逆流性食道炎→http://循環器内科.com/gerd
【逆流性食道炎とは】
逆流性食道炎とは、胃酸の逆流が原因で食道に炎症が起こる病気です。胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease: GERD)とも呼びます。今まで検診や人間ドックなどで逆流性食道炎と既に診断されて胸焼け症状の治療のため来院される場合と、胸の痛み、胸の違和感、胸の苦しさ、不快感、動悸、長引く咳などの症状で来院されて、心臓や肺などの検査をしても明らかな異常がなくて、症状や検査などから逆流性食道炎の症状であることがわかる場合とがあります。
【逆流性食道炎の症状】
胸焼け、みぞおちの痛み、胃酸の込み上がる感じ、胸の中央の焼けるような痛み、胸のつかえる感じ、などが逆流性食道炎に特徴的な症状です。食後の不快感、吐気、すぐにお腹が膨れるなどの症状のこともありますし、ゲップが出やすくなった、口臭が強くなった、声のかすれなどの一見関係がなさそうな症状のことも珍しくありません。胃酸が気管支を刺激すると咳の原因となり、長引く咳の原因の一つとして逆流性食道炎は重要です。胸が締め付けられる感じ、胸が圧迫される感じ、動悸といった一見狭心症や不整脈のような症状、なんとなく胸全体の不快感などといった漠然とした症状であることもしばしばあります。
【逆流性食道炎の検査】
多くの場合、上記のような逆流性食道炎に特徴的な症状を認める場合、臨床的に逆流性食道炎と診断し、治療して行きます。必要に応じて胃カメラを進めることもあり、内視鏡検査で食道に炎症を認めれば確定診断になります。内視鏡検査を先に行う場合もありますし、まずは逆流性食道炎の治療薬である制酸薬、胃酸を抑える薬を先に投与し、症状の改善が認められる場合に逆流性食道炎と診断するやり方もあります。治療的診断、PPIテストなどと呼ばれる診療の進め方で、その後それで症状が改善すればそれでOK、全く症状の改善が見られない場合に詳しく内視鏡検査を追加して進めていくというやり方です。どちらが正しいということはなく、年齢、症状の経過、悪性疾患のリスク因子、既往歴、まずは原因を確実にハッキリとさせたいかとにかく今の症状を早く治したいかなど患者さんの趣向、内視鏡検査の負担や検査費用なども踏まえつつ患者さんと相談しながら決めていきます。胃癌や食道癌などの疑いがあり、明らかに内視鏡検査をやったほうがいい場合は主治医のほうから強く検査を奨めますので、自己判断で放置しないようにしましょう。逆流性食道炎を無治療のまま放置すると胃酸の刺激の影響で食道の粘膜が変化してしまうバレット食道(Barrett’s Esophagus)という状態になり、それをさらに相当期間放置すると慢性的な炎症から食道癌の原因になると言われていますので、ただの胸焼けだからと言って長く続く場合は放置しないようにしましょう。また逆流性食道炎の原因として食道裂孔ヘルニアを見つかった場合は食道裂孔ヘルニアに対する治療が必要になる場合もあります。
症状だけでは診断がハッキリ付かない場合は消化器系、循環器系、呼吸器系、幅広く鑑別が必要になることも珍しくありません。狭心症などの心疾患の可能性や併発を疑う場合は、心電図、胸部レントゲン、必要に応じて心臓CT、心臓MRI、心エコー、ホルター心電図などの検査を進めていきます。長引く咳の症状で来院された場合は、咳の原因として、マイコプラズマ、百日咳、結核などの慢性咳嗽を引き起こす感染症の検査、胸部レントゲン、胸部CTなど必要に応じて進めて行きます。消化器疾患でも、ピロリ菌感染症に関連する胸部症状、内視鏡をしても異常は見付からないけれど逆流性食道炎の症状を認める非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease: NERD)、何らかの原因で食道の蠕動運動や食道括約筋の調整に問題が起こる食道アカラシア、何らかの食物アレルギーが関係すると言われアレルギーに対する治療が有効な好酸球性食道炎、心因性など鑑別が多岐に渡ることもあります。
【逆流性食道炎の治療】
逆流性食道炎の治療はズバリ、原因である胃酸を抑える治療です。制酸薬は単に症状を改善するだけではなく、胃酸を押さえ、胃の粘膜、食道の粘膜を一度ちゃんと治したいので、粘膜が入れ替わる4週間という単位でしっかりと継続することが大切です。治療のため、再発予防のためにも後述する逆流性食道炎の悪化に関係する食事習慣、生活習慣の改善も重要です。
・ネキシウム(エソメプラゾール)、タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、オメプラール(オメプラゾール)、プロトンポンプ阻害薬(Proton Pump Inhibitor: PPI)と呼ばれる制酸薬です。4種類のPPIと、PPIの強化版のP-CABと呼ばれるタケキャブ(ボノプラザン)の5種類があります。症状が収まるまでは治療用量で、症状が収まった後は維持用量で継続と使い分けます。
・ガスター(ファモチジン)、H2ブロッカーと呼ばれる制酸薬です。こちらでも十分に症状が改善する方もいます。
・ムコスタ(レバミピド)、PPIやH2ブロッカーのほど強力な作用はありませんが、胃をやさしく守ります。粘膜修復作用を期待して併用します。他にも多くの胃薬があります。
・ガスモチン(モサプリド)、六君子湯(りっくんしとう)、消化管の運動を改善します。
・ナウゼリン(ドンペリドン)、プリンペラン(メトクロプラミド)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、吐気が強い場合に症状が改善するまで併用します。
・逆流性食道炎の悪化に関係する生活習慣として、食べ過ぎ飲み過ぎ、油っぽい食事、香辛料や刺激物の多い食事、酸っぱいものの摂り過ぎ、カフェインの摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、炭酸飲料の飲み過ぎ、一度に一気に食べる量が多い、食べた後すぐに横になる、肥満などが言われています。ストレス、腹部に圧力が掛かる姿勢、骨格、作業、運動、服装なども逆流性食道炎の悪化要因であることが言われています。問題がある食生活、生活習慣がないか見直してみましょう。喫煙も逆流性食道炎の悪化要因であることは知られています。煙草も辞めるか減らしましょう。
全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。
【重要】ご来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
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【お茶の水循環器内科】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、抗血小板療法、ステント留置後の管理、バイパス術後の管理・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理、インスリン管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。