「循環器内科.com」に「大動脈解離」についてまとめました。
急性大動脈解離→http://循環器内科.com/aad
【急性大動脈解離とは】
急性大動脈解離(Acute aortic dissection)とは、心臓から出ている一番太い血管、大動脈(Aorta)が、急に裂けてしまう病気です。リスク因子としては、高血圧症、喫煙、脂質異常症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、加齢、マルファン症候群等の結合組織に異常を来す遺伝性疾患等が指摘されています。修正可能で最も重要な危険因子は、高血圧症と喫煙の2つです。長年の喫煙、高血圧症によって、血管へダメージが蓄積し、ある時、当然、前触れなく、血管が裂けてしまいます。突然の激痛、裂けるような激しい痛み、胸や背中、腹部や下肢に移動するような痛みが特徴です。激痛のあまりに失神、血管が破れると、出血、出血性ショック、意識障害、死に至ることもあります。他の随伴症状としては、解離を起こした血管の場所によって、冠動脈へ解離が及ぶと急性心筋梗塞、大動脈起始部へ解離が及ぶと心タンポナーデや大動脈弁の異常、腕頭動脈、左総頸動脈、脳血管へ解離が及ぶと脳卒中と同じような症状、腹部大動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、腎動脈、総腸骨動脈へ解離が及ぶとそれぞれの虚血症状が出ます。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
→http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/aortic-aneurysm_dissection.html
【急性大動脈解離の予防】
急性大動脈解離の最大のリスク因子は、高血圧症と喫煙です。急性大動脈解離を防ぐためには、血圧を正常値に保つこと、喫煙をしないこと、この二つに尽きます。高血圧症を放置すること、喫煙を続けること、これが急性大動脈解離のリスクです。急性大動脈解離を起こしてしまうと最善の治療をしても助からないことも少なくありません。これが高血圧症を放置してはいけない理由、禁煙を医師が奨める理由です。高血圧症、喫煙の他のリスク因子として、脂質異常症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、加齢、マルファン症候群等の結合組織に異常を来す遺伝性疾患等が指摘されています。
【急性大動脈解離の検査】
確定診断は造影CTによる血管の解離の証明です。速やかに造影CTまたはカテーテル検査による解離の有無と程度を評価します。エコー検査は簡便ですが、深部の血管の観察は十分ではありません。胸部レントゲンでは、縦隔拡大がサインのことがありますが、判別出来ないことも多いです。腕頭動脈に解離が及んだ場合は右鎖骨下動脈、左鎖骨下動脈に解離が起こった場合には、血圧の左右差がサインのことがありますが、それだけでは確定診断出来ません。
【急性大動脈解離の治療】
速やかに救急救命病院に搬送します。血圧を十分に下げ、解離が広がらないように阻止します。上行大動脈に解離が及んでいる状態(Stanford A型)、上行大動脈に解離が及んでいない状態(Stanford B型)とあり、緊急手術、保存療法、人工血管置換術、ステントグラフト術等の様々な治療法があります。また、心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全症、心タンポナーデ、脳梗塞等の合併症を起こしている場合はそれに対して最善の治療を行いますが、急性大動脈解離は最善の治療を尽くしても助からないことがあります。発症しないためには予防するしかありません。詳しくは、「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」(日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本脈管学会)をご覧ください。
→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_takamoto_h.pdf
【重要】ご来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
東京都医療機関案内サービスひまわり:03-5272-0303
→https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop
【お茶の水循環器内科】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、抗血小板療法、ステント留置後の管理、バイパス術後の管理・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理、インスリン管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。