「循環器内科.com」に「大動脈弁閉鎖不全症」についてまとめました。
大動脈弁閉鎖不全症→http://循環器内科.com/ar
【心臓弁膜症とは】
心臓弁膜症(Valvular heart disease)とは、心臓にある弁に異常を来した状態です。人間の心臓は、左心房、左心室、右心房、右心室と4つの部屋があり、左心室からは大動脈が、右心室からは肺動脈という血管が出ます。それぞれの部屋と部屋の間、部屋と血管の間には、弁(Valve)があります。具体的には、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁、の4つです。正常な心臓では、血液が流れる時に弁が開き、流れ終わると弁が閉じて逆流を防ぎ、血流がスムーズに循環する仕組みになっています。このいずれかの弁が正常に機能しなくなった状態が心臓弁膜症です。正常に開かない場合、狭窄症(Stenosis)と、正常に閉じない場合、閉鎖不全症(Regurgitation)の2種類があります。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
「心臓弁膜症」→http://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/valvular-heart-disease.html
【大動脈弁閉鎖不全症とは】
大動脈弁閉鎖不全症(Aortic regurgitation: MR)とは、心臓弁膜症の一つです。大動脈弁(Aortic valve)は、左心室と大動脈の間にある弁で、左室の収縮期に開いて、左室の拡張期に閉じます。大動脈弁が正常に閉じなくなった状態が大動脈弁閉鎖不全症です。大動脈弁閉鎖不全症を起こすと、心臓から出た血流が逆流し、もう一度心臓へ戻って来てしまいます。拡張期の左室への容量負荷から心臓の筋肉が弱って行き、心不全を来す病気です。急性に大動脈弁閉鎖不全症を起こすものとして大動脈解離に合併する大動脈弁閉鎖不全症があり、急速にショック状態となります。詳しくは慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト「KOMPAS」のページをご覧ください。
→http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000267.html
【大動脈弁閉鎖不全症の原因】
大動脈弁自体の病変による大動脈弁閉鎖不全症の原因として、リウマ チ熱、石灰化大動脈弁、感染性心内膜炎、外傷性、先天性二尖大動脈弁、先天性四尖大動脈弁、大動脈基部の異常としては、加齢による大動脈基部拡大、Marfan症候群、大動脈解離などがあります。
【大動脈弁閉鎖不全症の診断】
大動脈弁閉鎖不全症の診断は心エコーで行います。心エコー検査では、超音波によって全ての弁を観察し、弁膜症の有無と重症度の評価が可能です。大動脈弁閉鎖不全症では、症状の有無と、左室駆出率、左室経によって重症度を評価します。重症度から手術適応を判断します。術後の経過観察としても重要な検査です。検診等で心雑音を指摘された場合はまずは心エコーから精査を行って行きます。心不全を来しているかどうかを採血、心房細動の出現があるかどうかを心電図、ホルター心電図で精査します。冠危険因子の程度によっては冠動脈疾患の合併がないかどうかを冠動脈CT、心臓MRI等で評価します。詳しくは各検査のページをご覧ください。
心エコー→http://循環器内科.com/ucg
BNP→http://循環器内科.com/bloodtest
ホルター心電図→http://循環器内科.com/holter
【大動脈弁閉鎖不全症の治療】
中程度以上の大動脈弁閉鎖不全症は手術を考慮します。心不全症状の有無と、左室駆出率LVEF、左室収縮末期径LVDsの3つの指標から、手術時期を検討します。具体的には、症状がある場合は手術適応、運動負荷によって症状が出現する場合も手術適応とします。無症状の場合は、心エコーによって左室駆出率を評価します。左室駆出率50%未満では手術を考慮します。ただし、左室駆出率25%未満と高度に低下した例では手術の有益性は明らかではないため手術の適応は慎重に判断します。左室駆出率50%以上の場合は、左室収縮末期径LVDs、左室拡張末期径LVDdを評価し、LVDs50mm以上、LVDd70mm以上の場合は手術を考慮、LVDs50mm未満、LVDd70mm未満の場合は手術ではなく、3-12ヶ月ごとに、心エコーと臨床評価にて経過観察を行います。
手術には大動脈弁置換術と大動脈弁形成術と2つの術式があります。大動脈弁置換術には機械弁と生体弁があります。大動脈弁閉鎖不全症では、2019年現在、手術以外の治療法はありません。進行抑制効果を期待して血圧管理を行います。
【大動脈弁閉鎖不全症の管理】
手術適応には満たない軽度の大動脈弁閉鎖不全症は経過観察を行います。具体的には、症状のない場合、左室駆出率LVEF50%以上、左室収縮末期径LVDs50mm未満、左室拡張末期径LVDd70mm未満の場合、初診時では三ヶ月後、再診では半年から年に一度程度で繰り返し心エコーを行います。詳しくは「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」をご覧ください。
「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版)」
→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_matsuda_h.pdf
大動脈弁閉鎖不全症の特有の合併症として感染性心内膜炎があります。これは狭窄部位の弁が傷つき、細菌感染を起こしてしまうという合併症です。抜歯等の歯科処置の際には感染性心内膜炎の予防のため抗菌薬投与が必要な場合があります。
他に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙等の冠危険因子があれば治療します。
高血圧症→http://循環器内科.com/ht
脂質異常症→http://循環器内科.com/dl
大量飲酒→http://循環器内科.com/ld
心房細動→http://循環器内科.com/af
詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
「弁膜症とのつきあい方」→http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph41.ht
【重要】来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
東京都医療機関案内サービスひまわり:03-5272-0303
→https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop
【お茶の水循環器内科】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン管理、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。