2020/1/28(火)、長期透析中の心房細動に対する経口抗凝固薬のメタ解析研究「Oral Anticoagulation for Patients With Atrial Fibrillation on Long-Term Dialysis」の結果をまとめました。長期透析中は出血リスクが上昇する一方で、心房細動に対しては心原性脳塞栓症予防が必要です。透析中の心房細動に対する経口抗凝固薬の有効性と安全性、ネットクリニカルベネフィット(net clinical benefit: NCB)を調べるために、MEDLINE、EMBASEで検索、16の観察研究、7万1877例のメタ解析を行いました。結果、アピキサバン、ワルファリンは脳卒中、全身性血栓塞栓症の有意な減少と関連しませんでした。アピキサバン5mgは、ワルファリン(HR 0.65 95%CI 0.45 to 0.93 )、アピキサバン2.5mg(HR 0.62 95%CI 0.42 to 0.90)、抗凝固薬なし(HR 0.61 95%CI 0.41 to 0.90)、全てにおいて全死亡の減少を認めました。ワルファリンは抗凝固薬なしと比べて大出血リスクと有意に関連(HR 1.31 95%CI 1.15 to 1.50)を認めました。ダビガトラン、リバーロキサバンはアピキサバン、抗凝固薬なしと比べて大出血のリスクが有意に関連していました。
→https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109719384906
透析中の心房細動に対する抗凝固療法は常に悩ましいものですが、今回のメタ解析の結果からは使うのであればアピキサバンが良いかも知れないし、確実に有効性、安全性の確立している抗凝固薬はないとも言えるので、使わないという選択肢もありえるということでしょう。現実的には抗凝固療法を行わない場合も多いのではないでしょうか。詳しくは主治医とご相談ください。
2020/1/28(火)、長期透析中の心房細動に対する経口抗凝固薬のメタ解析研究「Oral Anticoagulation for Patients With Atrial Fibrillation on Long-Term Dialysis」の結果をまとめました。