2019/10/2(水)、味覚や美味しさを強調する食品表示と野菜摂取の増加との関係について調べた研究「Increasing Vegetable Intake by Emphasizing Tasty and Enjoyable Attributes: A Randomized Controlled Multisite Intervention for Taste-Focused Labeling」の結果をまとめました。

2019/10/2(水)、味覚や美味しさを強調する食品表示と野菜摂取の増加との関係について調べた研究「Increasing Vegetable Intake by Emphasizing Tasty and Enjoyable Attributes: A Randomized Controlled Multisite Intervention for Taste-Focused Labeling」の結果をまとめました。健康的な食品表示は健康的なベネフィットを促進するが、多くの人は食べ物の選ぶ時に美味しいことを優先しがちです。野菜摂取を増やすためには、味覚を強調した食品表示(taste-focused labels)が良いか、健康を強調した食品表示(health-focused labels)が良いか、アメリカの5つの大学の学生食堂において検証しました。24種類の野菜を使ったメニューを用意、185日間、137842食解析の結果、味覚を強調した食品表示の場合は、健康を強調した食品表示の場合と比べ、野菜が多いメニューが29%多く選択されました。既存の食品表示の場合と比べた場合も14%野菜が多いメニューが選択されました。追加研究として、効果の要因を細かく分析したところ、味覚の体験に対するポジティブな期待感、野菜メニューを提示されるセッティング、味覚を強調した食品表示は、ポジティブな言葉、ファンシーな言葉、食材の内訳などが含まれると効果的であることなどが考察されました。リアルワールドでは、健康に良いことを強調することよりも、美味しく楽しい(tasty and enjoyable)ことを強調したほうが野菜摂取量の増加に効果的な可能性があると論文ではまとめています。
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797619872191
大学の学食において、健康に良いことを強調することよりも、美味しく楽しいことを強調したほうが、結果的に野菜メニューが選ばれることが多かったという研究結果です。細かく論文を読むと、既存の食品表示を基準に比較した場合は14%増加、健康を強調した食品表示を基準に比較した場合は29%増加ということは、逆に言えば、既存の食品表示を基準とした場合に健康を強調した食品表示は相対的に15%選ばれることが減っていると見積もることも出来ます。医療従事者はつい健康に良いことこそ全てだと考えたりしてしまいますが、自身の行動の決定を振り返った時に、それと同じかそれ以上に、美味しいこと、楽しいことなどが重要だったりします。健康を強調することは必ずしも効果があるとは限らない、場合によっては逆効果になってしまうこともあるかも知れないことは教訓として記憶しておくべきであると感じました。

PAGETOP