2020/3/4(水)、高血圧に対して職場における多項目介入の効果について調べた研究「Effect of a Workplace-Based Multicomponent Intervention on Hypertension Control: A Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/3/4(水)、高血圧に対して職場における多項目介入の効果について調べた研究「Effect of a Workplace-Based Multicomponent Intervention on Hypertension Control: A Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。職場による(workplace-Based)介入は高血圧管理において有効なアプローチの可能性がありますが、実際に血圧コントロールを改善するかどうかの研究はほとんどされていませんでした。職場における他項目介入が高血圧を改善するかどうか調べるために、2013年から2014年まで、中国の20の都市、60の職場(workplaces)にて無作為化比較対照試験を実施しました。職場によって介入群40施設、対照群20施設に無作為に割り振り、それぞれの職場の被雇用者は断面研究に回答しました。2016年から2017年までデータ解析、介入は2つの項目について2年間実施されました。1つ目は、被雇用者の心血管健康(cardiovascular health)を改善するための職場健康プログラム、2つ目は、血圧コントロール目標達成のための地域健康センター(community health center)による毎月訪問のガイドラインに準じた血圧管理プロトコルを24ヶ月間実施しました。一次転帰は、両群の高血圧の被雇用者の24ヶ月後の血圧コントロール率のベースラインからの変化です。二次転帰は、試験終了時の生活習慣因子と、血圧値の変化です。結果、全体で4166例、介入群3178例、対照群988例が試験に参加しました。平均年齢46.4歳(SD 7.6)、男性3451例(82.8%)、ベースラインにおける血圧コントロール率は介入群19.5%、対照群20.1%でした。24ヶ月後、介入群は対照群と比べて血圧コントロール率が有意に向上(66.2% vs 44.0% OR 1.77 95%CI 1.58-2.00 P<0.001)を認めました。収縮期血圧値の介入効果は、−5.8 mmHg(95%CI −6.8 to −4.9 mmHg P<0.001)、拡張期血圧−3.6 mmHg(95%CI −4.4 to −2.9 mmHg P<0.001)でした。血圧コントロール率は、介入群で期間に応じて増加傾向を認めました。さらに、飲酒率(−18.4% 95%CI −20.6% to −16.2% P<0.001)、ストレス感受性(−22.9% 95%CI −24.8% to −21.1% P<0.001)、過度の食塩の使用(−32.0% 95%CI −33.7% to −30.4% P<0.001)はいずれも顕著に減少を認めました。職場における多項目介入は通常のケアと比べて効果的で、血圧低下、高血圧コントロール率の向上、健康的な生活習慣への変容と計測可能なベネフィットを認めました。このような介入はさらに中国または他の国においても大規模な高血圧管理プログラムとして考慮しても良いだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2761580
職場で積極的に介入したところ、1.77倍も血圧コントロール率が改善したという報告です。飲酒18.4%減少、ストレス22.9%減少、減塩32.0%とのことで、素晴らしい効果です。減塩し、お酒を減らし、ストレスも減れば確かに血圧は下がります。血圧は医療機関ではなくメインは職場で管理、全て実行しても血圧が下がらない場合のみ医療機関を受診するような時代になっていくかも知れませんね。


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