2020/3/1(日)、余暇時間の身体活動の量と強度とがんリスク低下についての研究「Amount and Intensity of Leisure-Time Physical Activity and Lower Cancer Risk」の結果をまとめました。

2020/3/1(日)、余暇時間の身体活動の量と強度とがんリスク低下についての研究「Amount and Intensity of Leisure-Time Physical Activity and Lower Cancer Risk」の結果をまとめました。余暇時間の身体活動(leisure-time physical activity)としてのがんリスク低下のためにはどの程度の量が推奨されるのか、量反応関係、中程度以上、活発に集中的な身体活動との関係を調べました。自己申告による余暇時間の身体活動とその後のがんの発生について調べた9つの前向きコホート研究を収集しました。多変量Cox回帰分析によって、身体活動と15種類のがんの発生のハザード比と95%信頼区間を計算しました。量反応関係は制限3次スプライン(restricted cubic spline)を用いて、余暇時間の身体活動量は代謝相当仕事(metabolic equivalent task: MET)として、0、7.5、15.0、22.5、30.0、統計的に有意な関係としてはP trend<0.05かつ95%CI<1.0と定義しました。結果、全体で755459例、中央値年齢63歳(32-91歳)、女性53%、10.1年間追跡しました。50620例のがんが発生しました。推奨身体活動量(7.5-15 MET hours/week)を達成している群では、15種類のうち7種類のがんにおいて、統計的に有意な減少を認めました。具体的には、男性における大腸癌(8%-14%)、乳癌(6%-10%)、子宮体癌(10%-18%)、腎癌(11%-17%)、骨髄腫(14%-19%)、肝癌(18%-27%)、女性における非ホジキンリンパ腫(11%-18%)が統計的に有意に減少を認めました。量反応関係は半数で線形、残りは非線形でした。中程度(moderate)、活発で集中的な余暇時間の身体活動は混在、BMI調整後、子宮体癌は除外されましたが、他の種類のがんには影響は限定的でした。医療従事者、運動療法の専門家、公衆衛生専門家は、様々ながんのリスク減少のため推奨レベルの身体活動を維持するように動機付けを行うべきであると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.19.02407
肝癌や大腸癌で運動が予防的に働くことは有名ですが、他の種類のがんに対してもリスク低下効果があることは初めて知りました。75万例の大規模な解析です。運動不足になりやすい時期ですが、出来る運動を実践しましょう。


PAGETOP