2020/3/12(木)、スタチンが冠動脈プラークに与える影響を冠動脈CT血管造影にて調べた研究「Impact of Clinical Characteristics and Statins on Coronary Plaque Progression by Serial Computed Tomography Angiography」の結果をまとめました。

2020/3/12(木)、スタチンが冠動脈プラークに与える影響を冠動脈CT血管造影にて調べた研究「Impact of Clinical Characteristics and Statins on Coronary Plaque Progression by Serial Computed Tomography Angiography」の結果をまとめました。冠動脈疾患の進行を冠動脈CT血管造影、低リスク集団の長期の追跡によって、冠動脈プラークの進行の定量的評価、臨床的特徴、スタチン使用の影響を前向きに評価するために、過去に冠動脈CT血管造影を受けて、冠動脈疾患が疑われた例を対象に、冠動脈CT血管造影で前向きに追跡しました。一次転帰は冠動脈疾患の進行、冠動脈CTの定量解析による年間の絶対増加、石灰化、非石灰化プラークの量と定義しました。結果、冠動脈CT血管造影202例、平均撮影間期間6.2年、年齢(β=0.070; P=0.058)、高血圧(β=1.380; P=0.075)は、1年間のプラークの進行と有意な関係を認めませんでした。男性であること(β=1.676; P=0.009)、糖尿病(β=1.725; P=0.012)、スタチンの使用(β=1.498; P=0.046)は石灰化プラークの1年間の進行と独立した関係を認めました。高血圧あり(β=2.259; P=0.015)は非石灰化プラークの進行の独立した決定因子で、スタチンの使用(β=−2.178; P=0.050)は非石灰化プラークの進行の減少と、ちょうど境界型の有意な関係(borderline significantly associated)を認めました。スタチンの使用は石灰化冠動脈プラークの進行増加、非石灰化冠動脈プラークの進行減少と関係しており、これは石灰化プラークと非石灰化プラークの構成(component)の違いを反映している可能性があります。高血圧は非石灰化プラークの進行の予測において唯一の修正可能なリスク因子でした。この結果から、糖尿病、高血圧がある場合には、冠動脈疾患の進行を遅らせ、安定させ、臨床転帰を改善するための積極的な予防療法の必要であることを示したと言えるだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCIMAGING.119.009750
高血圧は非石灰化プラークの進行に主に関わっており、糖尿病は石灰化プラークの進行に関わっており、スタチンの使用は石灰化プラーク、非石灰化プラーク、いずれにおいても進行抑制に関わっていたという報告です。また一般に、非石灰化プラークに比べて石灰化プラークのほうが安定したプラークであると考えられており、スタチンの使用はプラークの安定化作用として解釈することが出来ます。プラークの性状変化とプラーク進行がないかをチェックすることが重要で、冠動脈狭窄を認める場合に定期的に冠動脈CTでフォローしていくのはこのためです。


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