2020/4/20(月)、COVID-19における血管内皮細胞感染と血管内炎についての報告「Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19」の内容をまとめました。

2020/4/20(月)、COVID-19における血管内皮細胞感染と血管内炎についての報告「Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19」の内容をまとめました。COVID-19において呼吸器疾患に加えて心血管合併症は急速に進行し、生命を脅かします。SARS-CoV-2感染におけるメカニズムは重症急性呼吸症候群の不均衡効果(disproportionate effect)ではないかと考えられていますが、完全には解明されていません。SARS-CoV-2の細胞への感染には、ACE2受容体(angiotensin converting enzyme 2 receptor)が関係しています。ACE2受容体は、肺、心臓、腎臓、腸とあわゆる臓器に発現しています。ACE2受容体は血管内皮細胞にも発現しています。COVID-19による血管障害は血管内皮細胞に原因があるかどうかは現在わかっていません。試験管内(in vitro)では、SARS-CoV-2はヒトの血管組織に直接的に感染を起こすことがわかっています。COVID-19と様々な組織の血管床の血管内皮細胞の障害の様子を紹介します。1例目は、冠動脈疾患、高血圧、腎移植を受けた71歳の男性で、COVID-19の確定診断の後、人工呼吸を受け、8日後に多臓器不全で亡くなりました。剖検にて移植された腎臓の血管内皮細胞に、電子顕微鏡にてウイルスの所見を認めました。組織学的解析からは、血管内皮細胞への炎症細胞の集積を、心臓、小腸、肺の壊死組織から認めました。単球の集積は肺、特に肺の小血管に密集して認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2820%2930937-5/fulltext
COVID-19が血管内皮細胞に対しては血管炎を起こすかも知れないという報告です。心血管疾患、脳血管疾患を引き起こすのではないかという報告もあり、循環器内科としても無縁ではいられません。今後も情報収集を続けます。


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