2020/5/9(月)、機械学習を用いて集中治療室における循環不全の早期予測に関する研究「Early prediction of circulatory failure in the intensive care unit using machine learning」の結果をまとめました。

2020/5/9(月)、機械学習を用いて集中治療室における循環不全の早期予測に関する研究「Early prediction of circulatory failure in the intensive care unit using machine learning」の結果をまとめました。集中治療室では様々なモニタリングシステムによる大量の測定値があります。人間が複雑な情報を処理する能力には限界があるため、患者が急変することを早期に認識することが出来なかったり、多数のモニタリングアラームが多過ぎて、アラーム疲れ(alarm fatigue)を起こしてしまうこともあります。240人年の高精度のデータベースを用いて、多数の臓器システムの測定値を統合、機械学習を用いて早期アラームシステムを開発しました。検証において、循環不全イベントを90%の精度で予測し、82%のケースでは2時間以上前に同定出来ました。受信者操作特性曲線下面積は0.94、精度再現率曲線下面積は0.63でした。患者1人あたり1時間あたり平均0.05回のアラームを警告しました。独立したコホートにて外部検証が必要です。従来の閾値ベースのシステムと比べて、アラームの低い偽陽性率にて、循環不全のリスクのある症例において早期の同定に役立つ可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0789-4
アラーム疲れ(alarm fatigue)という表現はよくわかります。どの業者も見逃しを少なくするために閾値を下げてアラーム設定をしてしまうあまり、偽陽性率が高く、常にアラームが鳴っている状態になってしまいます。「オオカミ少年」状態、全ての書類に「重要」と書いてあるとどの書類が本当に「重要」なのかわからなくなってしまう現象と似ています。まさに痒いところに手が届く研究ですね。


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