2020/5/21、血行再建後のリバーロキサバンの末梢動脈疾患への効果について調べた研究「Rivaroxaban in Peripheral Artery Disease after Revascularization」の結果をまとめました。

2020/5/21、血行再建後のリバーロキサバンの末梢動脈疾患への効果について調べた研究「Rivaroxaban in Peripheral Artery Disease after Revascularization」の結果をまとめました。末梢動脈疾患に対して下肢血行再建を受けた例は、主要有害下肢事象、主要有害心血管事象のハイリスクです。このような症例に対するリバーロキサバンの有効性、安全性は知られていません。末梢動脈疾患に対して血行再建を受けた例に対して、アスピリンに加えてリバーロキサバン2.5mg 2Tを投与する群と、アスピリンとプラセボを投与する群、無作為化二重盲検試験を実施しました。有効性の一次転帰は、急性下肢虚血、血管を原因とする下肢切断、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管を原因とよる死亡の複合としました。安全性の転帰はTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)分類による大出血、国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis)の定義による大出血は安全性の二次転帰としました。結果、全体で6564例、リバーロキサバン群3286例、プラセボ群3278例、有効性の一次転帰はリバーロキサバン群508例、プラセボ群584例、3年間の発生率のカプランマイヤー推定はそれぞれ17.3%、19.9%で、有意差(hazard ratio, 0.85, 95% confidence interval [CI], 0.76 to 0.96; P=0.009)を認めました。TIMI分類大出血は、リバーロキサバン群62例、プラセボ群44例で、有意差(2.65% and 1.87%; hazard ratio, 1.43; 95% CI, 0.97 to 2.10; P=0.07)には至りませんでした。ISTH大出血は、リバーロキサバン群140例、プラセボ群100例で、有意差(5.94% and 4.06%; hazard ratio, 1.42; 95% CI, 1.10 to 1.84; P=0.007)を認めました。末梢動脈疾患に対して下肢血行再建を受けた例に対して、アスピリンに比べて1日2回のリバーロキサバン2.5mgを投与する群は、アスピリン単独群に比べて、急性下肢虚血、血管を原因とする下肢切断、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管を原因とよる死亡の複合の発生の低下と有意に関係を認めました。TIMI分類大出血は両群間で有意差は認めませんでした。ISTH大出血の発生は、アスピリンにリバーロキサバン併用群で、アスピリン単独群と比べて、有意に高値を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2000052
下肢虚血で血行再建後、アスピリンにリバーロキサバンを併用することで、虚血性イベントの予防に対して有効であったという報告です。虚血性イベントの予防効果が3年間で15%であるのに対し、出血性イベントは43%増加しており、ケースバイケースと言った印象です。抗血小板療法、抗凝固療法は常に有効性と安全性のバランスの議論になりますね。詳しくは主治医へご相談ください。


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