2020/6/1、毎日ではない低用量の喫煙と死亡率の量反応関係を調べたアメリカの研究「Dose-Response Association of Low-Intensity and Nondaily Smoking With Mortality in the United States」の結果をまとめました。

2020/6/1、毎日ではない低用量の喫煙と死亡率の量反応関係を調べたアメリカの研究「Dose-Response Association of Low-Intensity and Nondaily Smoking With Mortality in the United States」の結果をまとめました。アメリカでは、毎日ではない、低用量の喫煙者の人口が増加しています。以前毎日喫煙していて、現在は毎日ではない喫煙者(nondaily smokers)という場合もあります。毎日喫煙から毎日ではない喫煙へ喫煙量を減らすことの影響、量反応関係は十分にわかっていません。毎日ではない喫煙、毎日の喫煙と、全死亡、原因特異的死亡のリスクを評価するために、月あたりの喫煙本数、毎日の喫煙から毎日ではない喫煙へ減らしてからの年数、禁煙からの年数を評価しました。2018年から2020年まで、「TUS-CPS」(Tobacco Use Supplements to the Current Population Survey)のデータと全国死亡統計(National Death Index)のデータを用いて前向きコホート研究を実施しました。「TUS-CPS」では、1992-1993、1995-1996、1998-1999、2000、2001-2002、2003、2006-2007、2010-2011年のタバコ使用販売量に関するデータがありました。喫煙者は毎日(daily)、毎日ではない(nondaily)に分類、さらに毎日ではない喫煙者は以前毎日喫煙していたかどうかで分類しました。過去に一度も喫煙をしたことがない人(never smoking)と比べた、死亡リスクのハザード比、95%信頼区間を計算しました。年齢、性別、人種、教育歴、調査年、所得等で調整を行いました。結果、505500例の登録者、18歳から103歳、約47000例の死亡が発生しました。月あたりの平均喫煙本数は、毎日喫煙者600本、1日あたり20本、以前から毎日ではない喫煙者は40本でした。しかしながら、現在の毎日喫煙者(HR, 2.32; 95% CI, 2.25-2.38)、以前から毎日ではない喫煙者(HR, 1.82; 95% CI, 1.65-2.01)、いずれも一回も喫煙をしたことのない人と比べて高い死亡リスクを認めました。月あたり6本から10本の喫煙から量反応関係を認めました。毎日ではない喫煙者のうち過去に毎日喫煙していた群は、毎日喫煙者と比べて死亡リスクは低下、以前から毎日ではない喫煙者で10年以上経過した群と同等のハザード比(HR vs never smokers, 1.73; 95% CI, 1.56-1.92)でした。ただし、10年以上前に禁煙をした群と比べるとリスクは高率(HR vs never smokers, 1.18; 95% CI, 1.15-1.22)でした。喫煙量を毎日喫煙から毎日ではない喫煙に減らすことは死亡リスク低下と関連していますが、禁煙した場合のベネフィットには及びませんでした。以前から毎日ではない喫煙は、一回も喫煙をしない人と比べて高い死亡リスクを認め、月6本から死亡リスクの増加を認めました。結論としては、全ての喫煙者は、喫煙の頻度に関わらず禁煙するべきであると論文ではまとめています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32492162
喫煙は有害であることは明らかですが、月6本の喫煙から死亡リスクの増加を認めるというアメリカからの報告です。1日6本ではなく、月6本です。煙草は1日1本から害があるとよく説明しますが、正しくは月6本からであることが明らかになりました。


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