2020/4/24、心房細動患者において、弁膜症性心疾患の死亡率、血栓塞栓症、心事象への影響を調べた日本の研究「Impact of Valvular Heart Disease on Mortality, Thromboembolic and Cardiac Events in Japanese Patients With Atrial Fibrillation – The Fushimi AF Registry」の結果をまとめました。

2020/4/24、心房細動患者において、弁膜症性心疾患の死亡率、血栓塞栓症、心事象への影響を調べた日本の研究「Impact of Valvular Heart Disease on Mortality, Thromboembolic and Cardiac Events in Japanese Patients With Atrial Fibrillation – The Fushimi AF Registry」の結果をまとめました。弁膜症性心疾患(valvular heart disease: VHD)、心房細動はいずれも加齢によって増加しますが、心房細動と弁膜症性心疾患が合併した場合の特徴、転帰は十分にわかっていませんでした。伏見心房細動レジストリ「Fushimi AF Registry」は、京都の伏見区においける住民ベースの心房細動の前向き登録研究です。心エコーデータ3566件、20%が弁膜症性心疾患を持ち、131例(3.7%)が弁膜症性心房細動(valvular atrial fibrillation: VAF)、583例(16.3%)は非弁膜症心房細動で弁膜症性心疾患を持っていました。なぜなら、弁膜症性心房細動は、心房細動で僧帽弁狭窄症または人工弁置換術後と定義しているからです。弁膜症性心疾患を持つ心房細動は、高齢で、併存疾患が多く、CHADsスコア高値の傾向があり、弁膜症性心疾患がない場合と比べて経口抗凝固薬の処方の頻度が多い傾向になりました。交絡因子調整後、弁膜症性心疾患は脳卒中、全身性塞栓症、全死亡、心臓死亡と関連を認めませんでした。非弁膜症心房細動で弁膜症性心疾患を持つ場合は、心不全入院リスク上昇(adjusted hazard ratio [HR], 1.44; 95% confidence interval [CI], 1.16-1.78)を認めましたが、弁膜症性心房細動(HR, 1.28; 95% CI, 0.86-1.92)では認めませんでした。全ての種類の弁膜症性心疾患の中では、大動脈弁疾患は心事象のリスク高値と関連していましたが、僧帽弁疾患は関連は認めませんでした。日本人の心房細動において、弁膜症性心疾患は血栓塞栓症、死亡率と有意な関連を認めませんでしたが、種類によっては心事象に影響し、大動脈弁疾患はハイリスクでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32213725
伏見レジストリからの報告で、心房細動はまず弁膜症性心房細動と非弁膜症性心房細動に分類します。弁膜症性心房細動とは、僧帽弁狭窄症と人工弁置換後の心房細動のみを弁膜症性心房細動と定義し、それ以外の弁膜症は全て非弁膜症性心房細動に分類されます。なので、今回のように、非弁膜症性心房細動で弁膜症性心疾患という分類が発生するのです。弁膜症性心房細動3.7%、非弁膜症性心房細動で弁膜症性心疾患16.3%という伏見レジストリの数字も大変参考になります。


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