2020/7/14、特発性肺気胸の初期治療介入の有効性を比較した系統レビュー、メタ解析「Comparative Effectiveness of Interventions in Initial Management of Spontaneous Pneumothorax: A Systematic Review and a Bayesian Network Meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/7/14、特発性肺気胸の初期治療介入の有効性を比較した系統レビュー、メタ解析「Comparative Effectiveness of Interventions in Initial Management of Spontaneous Pneumothorax: A Systematic Review and a Bayesian Network Meta-analysis」の結果をまとめました。非緊張性症候性特発性肺気胸の初期治療として何がベストかは十分にわかっていません。成人の非緊張性特発性肺気胸の初期治療として有効性、安全性で最も優れた戦略を特定するために、系統レビュー、メタ解析を実施しました。1950年から2019年まで、MEDLINE、Scopus、Web of Science、ClinicalTrials.govを検索、特発性肺気胸に対して、無作為試験にて、穿刺脱気、14F未満の細い胸部チューブ留置、ハイムリッヒバルブ留置ありの場合となしの場合、14F以上の太い胸部チューブ留置を収集しました。ネットワークメタ解析、ベイズ無作為影響モデルにて解析しました。結果、12本の研究、781例を対象としました。12本、有効性解析にて、細いチェストチューブと太いチェストチューブ(OR 1.05 95%CI 0.38 to 2.87)、太いチェストチューブと穿刺脱気(OR 1.25 95% CI 0.65 to 2.62)、細いチェストチューブと穿刺脱気(OR 1.32 95% CrI 0.54 to 3.42)、いずれの介入間においても有意差を認めませんでした。10本、安全性解析では、穿刺脱気と太いチェストチューブ(OR 0.10 (95% CrI 0.03 to 0.40)にて有意差を認めました。穿刺脱気と細いチェストチューブ(OR 0.29 [95% CrI 0.05 to 1.82])、細いチェストチューブと太いチェストチューブ(OR 0.35 [95% CrI 0.07 to 1.67])では有意差を認めませんでした。効率性解析は入院期間のばらつきのため行われませんでした。14F未満の細いチェストチューブは、有効性の高い尤度比(surface under the cumulative ranking curve=64%)を認めました。穿刺脱気は安全性の夜会尤度比(surface under the cumulative ranking curve=95.8)を認めました。非緊張性特発性肺気胸の初期治療において、最適な治療戦略として、細いチェストチューブは有効性が高く、穿刺脱気は安全性が高いことがわかりました。太いチェストチューブは穿刺脱気と比べて合併症が多い傾向にありました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32115203
以前、肺気胸に対して保存的管理も悪くないという報告もありました。今回は外科的介入をするのであればどのような介入が良いかという比較です。判断に迷う場合は胸部外科医の判断を仰ぐのが良いでしょう。
「2020/1/30(木)、自然気胸に対する保存的管理と外科的介入と比較した研究「Conservative versus Interventional Treatment for Spontaneous Pneumothorax」の結果をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/13672


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